もし、タイムスリップができるなら......、過去と未来どちらに行きますか? 過去のあの出来事をなかったことにしたり、未来の結婚相手を確認したりと、どちらも興味深いものです。

 しかし、世界中の人たちが、簡単にタイムスリップできるようになったとしたら、果たして綺麗な人生だけが残るのでしょうか。都合のいいように改変された人生は、幸せなものになるのでしょうか。想像が膨らみます。

 東野圭吾氏の最新作のテーマは「タイムスリップ」。本人も好きだというこのテーマは、既に『時生』で表現済ですが、久しぶりに書きたくなったそう。「もし、過去の人間と手紙のやりとりができるとしたら、自分はどんなことを書くだろう──そんなふうに考えたのがきっかけでした」と東野氏が話すように、今回の作品では、人がタイムスリップするのではなく、手紙が移動するといった仕組みになっています。

 書籍『ナミヤ雑貨店の奇蹟 』でのアイデアは少し複雑。一軒の雑貨店に入ると、過去のある時代にタイムスリップするのです。過去の空間は家の中だけで、外に出た瞬間に現在に戻ってしまいます。その商店はシャッターが閉まっているのですが、悩みの相談が書かれた手紙が、小窓に投函されるのです。家のなかにいる現代人(過去の人からすると未来人)は、手紙を受け取り、相談に答えて、時空を越えるもう一つの空間・牛乳箱に手紙を入れることで、過去の人とつながりを持つのです。

 「夢をとるか、愛をとるか。現実をとるか、理想をとるか。人情をとるか、道理をとるか。家族をとるか、将来をとるか。野望をとるか、幸せをとるか」、同作は、あらゆる相談に答える不思議な雑貨店を舞台にした物語。

 「人生の岐路に立った時に人はどうすべきか」と、自分に重ねながら東野氏は同作品を執筆したといいます。これまでにないタイムスリップを体験できる新感覚な作品です。



『過去の人間に手紙を出せるなら何を書く?〜『ナミヤ雑貨店の奇蹟 』』
 著者:
 出版社:角川書店
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