4月18日、東京都は首都直下の「東京湾北部地震」による都内の被害想定を見直した。都の新たな想定では、M7.3の場合の被害規模は死者9641人、全壊建物11万6224棟、焼失建物20万1249棟にも及ぶ。

 この想定では、地震による建物の倒壊よりも、火災による被害拡大が目立つ。防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏は、首都直下地震における火災の危険性について、次のように話す。

「東京東部の木造住宅が密集した“木密地域”と呼ばれるエリアは風がなくても火災は広がることになる。首都圏の混乱によって消火活動ができないという前提に立つと、関東大震災(1923年)のとき、墨田区で四方を炎に囲まれ逃げ惑っていた3万8000人が亡くなった“火災旋風(炎の竜巻)”が起きる危険性もあります」

“木密地域”は墨田区、台東区、大田区などのほか、環7、環8沿いに集中している。火災の原因は加熱器具や漏電、ガソリンからの引火などさまざまだが、東京ガスでは震度5以上の揺れを感知すると遮断装置が作動するマイコンメーター(ガスメーター)を各戸に設置しているため、ガス漏れのリスクはほぼゼロに近い。

 それでも、首都圏では“木密地域”だけでなく、あちこちに火災の危険が潜んでいるという。災害・危機管理アドバイザーの和田隆昌氏が語る。

「首都高で渋滞が発生している時間帯に事故が起きれば、ガソリンから引火して火災が起きる可能性もある。そこにタンクローリーのような危険車両が走っていて事故に巻き込まれれば大爆発も起きかねない」

 最悪の場合、さらに大規模な火災が首都圏を襲う恐れがある。

「3・11の気仙沼を思い出してください。もともと『重油は引火しない』といわれていたんです。ところが重油から引火して大火災が発生して、あっさり定説が覆(くつがえ)されてしまった。丸2日燃え続け、気仙沼の街全体を焼き尽くしてしまった。同じことが東京湾でも起きる可能性があるのです。東京湾岸に5500基以上ある重油タンク数基から重油が流出すれば、引火して東京湾は瞬く間に火の海になります。そしてそれが湾岸に押し寄せると、さらに大規模な火災が起きる危険性がある。特に港区新橋は危険です。あのエリアには古い建物がいっぱいあるんです」(和田氏)

 地震が発生したら、すぐに火の元の確認を。改めて基本を肝に銘じたい。

(取材/鈴木英介)

【関連記事】
芝浦が4年間で30cm以上隆起?東京湾岸の土地に異変が起こっている
漁師が証言する大地震の前兆「サガミザメのオスが揚がったら要注意」
群発地震発生直前、富士山の東側斜面で巨大“噴気”現象が発生か
房総半島の磁気異常が示す「M7首都圏直下型地震」の可能性
【東北地方太平洋沖地震】東京湾で津波が発生した場合の危険性