100周年を迎えた吉本興業に暗雲が垂れこめている。ここにきて、相次いで芸人のギャラ未払いに、社員の給料遅配も報じられたばかり。あげくハリセンボンまで「800万円支払われていない」とこぼしているのだ。吉本芸人を見ない日がないほどの露出度で、順風満帆だった老舗芸能プロに何が起こっているのか。本誌が独占入手した決算報告書をもとに、経営危機の実情に迫る。



「吉本がヤバい」は周知の事実

創業100周年を迎えた吉本興業。4月8日には、「なんばグランド花月」をリニューアルし、笑福亭仁鶴や西川きよしら、大物落語家や芸人も詰めかけるなど、華々しい舞台となった。

 しかし、肝心の吉本興業の話題といえば、昨年の島田紳助の引退騒動以降、ギャラの未払いや社員の給料遅配騒動など、危機的な会社の経営状況に注目が集まっているのだ。

 お笑い番組を手がける民放局スタッフが語る。

「もう、テレビ局の関係者の間でも『吉本がヤバい』ってのは周知の事実ですよ。吉本は、番組の制作も手がけていますが、とにかく経費が渋いと言われている。記者会見などのPRも吉本の本社や、劇場に早朝に取材陣を集める徹底ぶり。しかもこの前なんか、リアルな話、ハリセンボンが2人分で『給料未払い800万円あるんです』って言うんだよ。どうも彼女たちだけじゃないみたいで‥‥。芸人Iにも未払いがあるって聞いたから、会社の経営がどうにかなっているんじゃないか。ほんの数年前までは超優良企業として、社員の給料の高さは有名だったし、AIJじゃないけど、どこか怪しいところに金の運営を任して失敗して、資金がショートしたんじゃないかなんて噂になってるよ」

 吉本といえば、もともと芸人や社員たちがみずか「ケチな会社」とネタにするほど、そろばん勘定に厳しい関西企業の典型として喧伝されてきた。

 だが、あくまでそれは過去の話。さんまや紳助、ダウンタウンといった所属大物タレントがこれまで過去何度も「ギャラが安い」「独立したい」と口にしてきたのは、関西ローカルの企業だった頃にすぎない。

 ところが、ギャラの「未払い」となると事は重大である。今やテレビ番組の制作に欠くことのできない吉本が、「経営危機」ともなれば、テレビ局にとっても大打撃となりかねないのだ。

 いったい吉本で何が起きているのか。そこで、本誌は関係者を通じて、最新の決算報告書(2011年4月〜9月)を独占入手した。そこには、現在の吉本が置かれている“苦境”がかいま見えてくる。