教育サービス編

業界トレンドNEWS Vol.128

少子化の中、学習塾・予備校は前年より市場拡大。その理由とは?


■少子化と学習ニーズの多様化に対応するため、「フルラインナップ」を目指す企業が増加

矢野経済研究所の「教育産業市場に関する調査結果2011」によると、2010年度における教育産業の市場規模は、対前年度比0.9パーセント減の2兆4395億円。不況などが影響し、企業における研修サービスや、社会人向け通信教育などのニーズは減少傾向にある。ただし、市場全体の3分の1強(9150億円)を占める学習塾・予備校市場は、前年度より1.7パーセント拡大した。これは、「ゆとり教育」に基づく学習指導要領の改訂や、子ども手当の交付によって、小学校低学年層を中心に補修ニーズが増えたことが影響している。

業界の主要プレイヤーとしては、ナガセ(東進ハイスクールなどを運営)、代々木ゼミナール(代々木ゼミナール、SAPIXなど)、河合塾、駿台予備校といういわゆる「4大予備校」をはじめ、栄光(栄光ゼミナールなど)、市進ホールディングス(市進学院など)、日本公文教育研究会といった予備校・学習塾、ベネッセコーポレーションやZ会などの通信教育系企業、中央出版や学研ホールディングスなどの教育系出版社、ECCやイーオンなどの語学スクール、ユーキャンやヒューマンホールディングスなどの資格スクールが挙げられる。

学習塾・予備校の分野では、過去10年ほどで合従連衡が大いに進んだ。例えば、ナガセは06年、学習塾の四谷大塚をグループ化。09年には、代々木ゼミナールがサピエンス研究所(学習塾・SAPIX中学部・SAPIX高校部を運営)を傘下に収めた。講師が多数の生徒に向けて講義を行う「集団指導型」や、1対1で指導する「個別指導型」など多彩なラインナップを揃え、補習・受験対策など多様化するニーズに応えるのが狙い。また、小学生から大学受験生向けまで一貫して対応できる体制を作り、生徒の囲い込みも目指しているのだ。一方、ベネッセコーポレーションが06年に予備校のお茶の水ゼミナールを、07年に個別学習塾の東京個別指導学院を子会社化。また、Z会が08年に市進ホールディングス、09年に栄光と業務提携するなど、通信教育・出版系企業が学習塾・予備校分野に乗り出す動きもある。この業界は月謝を前払いで受け取るケースが多いため、比較的キャッシュリッチ(手元資金が豊富であること)な企業が少なくない。そのため、買収などによって「フルラインナップ化」を目指す動きは今後も起こりそうだ。

少子化をにらみ、新たな事業の柱を模索する企業もある。まず目立つのは、より専門性の高いコースを新設する試みだ。これまでも、医学部志望者向け予備校などは存在していたが、大手がこうしたコースを新設したり、既存の専門予備校などを買収したりするケースが増えている。また、周辺ビジネスを手がけて本業との相乗効果を狙う企業もある。ナガセがイトマンスイミングスクールを運営するアイエスエスを子会社化したり、個別指導塾の明光義塾を展開する明光ネットワークジャパンがサッカースクールや学童保育などを手がけているのは、代表的な例。ほかにも、社会人・中高年向けの「生涯学習」や、子ども向けの「知育ゲーム」に進出する企業も登場している。

インターネット・ITの活用も進んでいる。録画された授業をオンデマンドで見られる、スマートフォン向けのアプリケーションで学習できるなどの取り組みは拡大の一途。また、学習塾トーマスなどを運営するリソー教育は、eラーニングシステムを活用した「校内予備校」を私立学校などに展開している。