未知の世界だった“霞が関”を肌で感じた上で、自分らしさを発揮できる場だと思えました

インターンシップで見つけた'働く自分' Vol.20

環境省 金子浩明さん

3週間のインターンシップで「官僚=堅い」というイメージが払拭されたという金子さん


■いろいろな人たちの価値観に触れたことで、一歩広い視野で就職先を考えられるように

子どものころから問題意識の高かった環境問題。大学2年の終わりには「環境を一生の仕事にしたい」と具体的に思い描くようになっていた。しかも、やりたいのは社会へのインパクトが大きい仕事。その思いを実現すべく、環境省を就職先として志望するようになり、大学3年になると同時に公務員試験の予備校に通い始め、夏には環境省のインターンシップに参加した。
「身近に官僚がいなかったので、話を聞くことができないし、一体どんな人たちがどういう想いで仕事をしているのかまったく想像がつかなかった。僕にとっては、未知の世界でした(笑)。相手を知るにはインターンシップで飛び込んで、実際の空気を肌で感じることが手っ取り早いと思って、応募しました。もちろん不安もありましたが、興味の方が大きかったですね」

インターンシップ期間は3週間。総合環境政策局にデスクを構え、金子さんが取り組んだのは「日本の環境政策が進むべき道筋を示す環境基本法の見直しに向けて、どんな論点があり、どんな改正をすべきか」の洗い出しである。まず取り掛かったのが、環境基本法が制定された当時の検討資料を読み込むこと。当時検討の俎上に上がっていたが、法案の作成過程で削られた論点があるか。それらの論点を抽出し、当時の議論を踏まえた上で、自分としてはこうすべきだという結論を3週間でまとめ上げるのが課題だ。
「自分なりにまとめた原稿を係長に提出したら、修正が書き込まれて真っ赤になって戻ってきました(笑)。このときに痛感したのは、一言一句の大切さ。でも、行政官の書いた文章が法律のベースになっていくことを考えれば、当然のこと。“霞が関文学”を体で学んだ初めての経験でした」

実務で学んだこともさることながら、金子さんにとって一番の財産となったのは、省内の多くの人たちとの交流だ。
「担当職員の方や秘書課の方が、担当課以外の人たちとの食事会や飲み会に誘ってくれたので、いろんな人たちと交流する機会を持てました。そこでのたわいのない会話を通して、職員の“素の姿”や“本音”を知ることができました。こうして、説明会では得がたい話を聞けたのは、職場体験型のインターンシップのメリットだと思います」

インターンシップに参加するまでは、“官僚=堅い”というイメージを抱いていた金子さんだが、実際に働いている人たちはとてもフランク。しかも、環境や国への熱い想いを持っている人たちが多いことを知って、自分もこんな社会人になりたいと思った。
「中でも感動したのは、所属に関係なく、若手同士の横のつながりが強くて仲が良いこと。『若手職員が省を引っ張っていこう』という気持ちにあふれていることに、とても魅力を感じました。40代の課長補佐が、気さくに飲みに誘ってくれたりして、上下の隔たりもまったく感じませんでした」

インターンシップでいろいろな人たちの価値観に触れたことで、自分の中で変化したのは、今までの一辺倒な思い。
「就職先を環境省一筋とする凝り固まった考え方ではなく、『いろいろなところを見てみよう』と、一歩広い視野に立って就職先を考えられるようになりました。だからこそ、秋からは他省庁や民間企業の説明会にも数多く参加しました」

官庁訪問では3つの省を回り、他省庁にもかなり魅力を感じたが、最後は環境省への入省を決意した。
「環境に軸足を置いて仕事をしたいというこれまでの想いに加え、職場の雰囲気や風通しの良さが決め手になりました。インターンシップの経験でそれを身をもって感じ、『ここなら自分らしさを発揮できる』と思えたんです」

現在は、環境アセスメント法の担当主査として、環境アセスメントの円滑に実施してもらうために、ほかの事業官庁、地方自治体、民間事業者などとの調整業務に追われつつも、ときには、これからの制度の在り方を検討するため、日本より先進的な海外の制度についてヒアリングするため、アメリカ・カナダへも足を延ばす。
「目標は、環境の世界で誰にも負けないプロフェッショナルでありつつ、“環境バカ”になりすぎないこと。そのために、今の仕事で得られることを全力で吸収する一方、幅広い業種の人と付き合い偏りのない情報を摂取することを心がけています」