めったに起こらないから奇跡は尊ばれる。しかし小さな奇跡は、毎日どこかで起こっているのかもしれない。これはある町の小さな保健所で起きた嘘のような本当の話である。

 ノリコさんはその小さな保健所で、引き取り手のない犬やネコの世話をするボランティア。すべての動物を引き取ることはできないけれど、せめて最後はお腹いっぱい食べさせて、綺麗なところに寝かせてあげたい。そう願って毎日仕事の帰りに通っている。

 ある日そこで出会ったネコは怖くて大きな顔をしていた。だから"でかお"と名づけてみた。なんとなく気になってはいたけれど、自分の家にもたくさんの動物がいる。引き取れない、でも気にかかる。しかし処分の日はやってきた。最期の姿を見ようと、泣きながら冷凍庫を開けてみると...。
 
この不思議なエピソードが『明日もいっしょにおきようね』という絵本になった。

 著者の穴澤賢は数年前まで「富士丸のとうちゃん」と呼ばれていた。動物ブログで不動の1位を続けていた『富士丸な日々』を覚えている方は多いかもしれない。富士丸の突然の死から立ち直る過程で、彼はこの奇跡のネコの話を聞いた。自らイラストレーターを探し、ブックデザインには『まこという名の不思議顔の猫』の飼い主である岡優太郎を起用。命のしたたかさと繊細さを描いた美しい装丁である。大人も子供も一緒に楽しみ、一緒に考えて欲しい。明日、書店に並ぶ。

(東えりか)







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