残念なイケメンとRちゃん(犬山紙子のイラストエッセイ)

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最近ネットでよく見かける、※マーク。これは
“ただしイケメンに限る”
という意味である。

「女なんか頭をなでればいちころだよ」
という言葉に対し、

と返すわけだ。こんなマークがはやるほど、イケメンというのは世間一般では恋愛強者に見えるのだろう。イケメンだったら恋愛はイージーモードだよな、と。きっと自分から何もしなくてもチヤホヤされることだろう、と。

しかし、しかああし!!
“残念なイケメン”
というのもこの世にはちゃんと存在するのである。顔は申し分なくかっこいいのに、もてない……そんな男性……。私の友だちにも何人か存在する。今日はその中の1人に焦点をあててみましょう。

その残念なイケメンとはY君、29歳。顔は誰が見てもイケメン。味がある系、というよりはきれいに整っている感じか。しかもかなり良い大学を卒業。イケメンで学歴もあるのに、残念なのだ……。何が残念なのか……それは、彼女をほしいと思っているのに、もう10年くらい彼女ができないのである。出会いがないわけでもない。結構合コンをこなしているのだ。でも、彼女ができない。なぜか……? さてそれを、1年前私の友だちを紹介したときのことを回想しつつ振り返ろうか。

紹介した私の友だちはRちゃん! 私のブログにもたびたび登場している、Rちゃんである。ちょうどRちゃんにも彼氏いなかったし、Y君、紹介するってだけなら、イケメンで高学歴とかなりの優良株である。Y君とは私も当時1、2回しかあったことがなかったので、
「あんなイケメンで優しそうなのに彼女いないなんて変なのー」
って思ってたくらいである。

そしてY君とメールするうちに
「じゃあ、女の子紹介してあげるよ!」
ということになり、Rちゃんを紹介することにした。

で、そこにいては私お邪魔虫だよなーと思ったから
「Rちゃんの連絡先教えるからメールして2人で会う日とか決めてね!」
と気を利かせるも、
「いや、犬山さんもいて」
とお願いされた。

人見知りなのかな……とも思ったけど、私が友だちとかとワイワイ会ったときは別にそんな感じはしなかった。……うーん、まあ、いいか……。そんなこんなで奇妙な3人飲み会が開催された。

お店は事前にY君が予約を取ってくれていたのだが、みんな初めての店だったので道がわからない。地図を見ながら歩くこと15分、やっと見つけて店内へ。焼肉屋か……。

もちろん、焼肉屋がNGってわけじゃないけど、焼肉は服に匂いがつくので、焼肉行くなら女的には先に知らせていただきたいものである。そしたら匂いがついてもジャブジャブ洗える服で行けるのだ。Rちゃんは男性を紹介されるということで結構高い服を着ていた。しかし、Rちゃんは性格いいのでこんなことじゃもちろん文句も言わない。

そして、最初にみんなでビールを乾杯! Y君、普通に話しかけてくる。Rちゃんのことは一目見て結構気に入った様子だ。やっぱり人見知りとかではないようだ。



けど、その話しかける内容が全て質問。
「休日は何をやってるの?」
「本を読んでます」
「そうなんだ」
特にそこから会話は広がらない。

で、次の質問、Rちゃん答える、話題終了、別な質問というルーティーン。質問に答えても会話が広がらないんじゃあ、
「じゃあなんでこの人質問したんだろ?」
ってなる。それが何重にも重なって……

おせじにもRちゃんは楽しそうとは言えなかった……。しまいには私とRちゃんがちらっと話したコスメのネタにも質問を投げかけてくる。Y君、コスメになんか興味あるわけないのに……そうか……Y君、質問する以外の女との会話を知らないんだ……。今まで無理やり質問しまくってたのか……。

きっとなんかのHOWTO本とかで
「女は自分のことを話したがる生き物。質問しまくってとにかくしゃべらせろ!」
みたいなのを見たのかもしれない……。そしてずっと自信なさげな振る舞いだったな……。自分でもこれでいいのか自信がなかったのかもしれない。

ええい! もーこーなったら私が逆にY君に質問を投げよう!
「Y君はさ、女の子のどーいう行動とかしぐさに弱いの? 好きなタイプでもいいよ!」
こういう恋愛がらみのネタだとさすがに会話もはずんでひと笑い起きるだろう、と。しかし
「うーん、特にない」
である。Rちゃんが気を利かせ
「私はちょっと変わってる人がいいなあ」
と言うも、
「あ、そうなんだ」
で終了(ちなみに好きなタイプは? という質問に対しての無難な解答は「俺を好きになってくれる子」である)。

は……話がはずまねえ……!! なるほど、そういう時のための私なのか……。やっと役割を認識した私。とりあえず、笑いがないとこの飲み会の印象が悪くなる! と思い、いくつか話題を提供。紹介っていうよりは“犬山の話を聞こう!”の会になってしまった。

そして3時間が過ぎ、そろそろお会計、というとき。なんとY君、Rちゃんにちゃんと番号を聞いたではありませんかっ!!!

よくできたね……! とまるでお母さんのような気持ちになる私。しかし、もう一軒行く、という気にはさすがにRちゃんはなれずここでバイバイ。まあ、でも番号交換してたし、後は本人たちにまかせようと思いつつ私も帰宅。

で、3日後。冷やかしついでにRちゃんに
「Y君からどんなメールきたの?」

すると……



「いやメールも電話も何もないよ」
との返事が……。えええ? 結構気に入ってる様子だったのになんで? と私はビックリ。急きょY君に
「Rちゃんはどうだった〜?」
とメールすると
「Rちゃんすごくいい子だね! ありがとう。気に入ったよ!」
とのことである……。わからない……。じゃあ、なぜ飲んだその晩、または翌日にメールをしないのか……。Y君、女の子に質問をする、番号を聞く、で満足しちゃってるんではないだろうか……。そんなことをふと思った私。

プラス自信のなさからメールをしにくいのか。正直、Y君なんかだまって自信あるように振る舞ってたら超もてそうなものなのに。だから
「気に入ったんだったらメールとかしてみたらいいじゃん! 強気でせめていいんじゃない?」
と返信。

そこから1週間後。RちゃんにやっとY君からメールがきた。

「Yだよ。明日飲みに行こう。この間はいてたタイツ? かわいかったけど、どこの? Rちゃんはキルスティンダンストのようで似ていると思った。ツイッターは作業化?」

ブーッ!!!! まじで意味わかんない! まるで英文とかを翻訳にかけてでてきたそのままの文章のよう。Rちゃんが変な男が好きって言ったのと、私が強気でと言ったせいでこうなったのか……。さすがに私も
「ごめん……意味不明だと思うからスルーしていいと思う……」
と答えるしかなかった……。

しかし、この意味不明なメールでY君への
「この人おもしろいんじゃないの?」
というネタ目線が芽生えた私。Rちゃんも笑っていたので、そこから私たちは友だちづきあいがスタート。今では“残念なイケメン”として私たちの共通認識となったのだ。

そう……世の中にはこんな残念なイケメンがいるのである。やっぱりコミュニケーションは顔より大事なのだ!! 多少ブサメンでも面白い人のほうがモテる、と私は強く思っている……。

お・わ・り