IT業界(情報システム系)編

業界トレンドNEWS Vol.127

クラウドコンピューティング、ビッグデータなど、知っておきたいキーワードもチェック!


■クラウドサービスの普及で業界構造が激変。「汎用品を組み合わせた提案力」が重要に

ここでは、企業からシステム開発を受注して開発する「受注ソフトウェア」、パッケージソフト(店頭などで市販されるソフトウェアのこと)を開発・販売する「ソフトウェアプロダクト」、システムの保守や運用を受託する「システム等管理運営受託」などの「情報サービス業」について取り上げる。この業界は、2000年にいわゆる「ITバブル」が崩壊した後、比較的堅調に推移。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によれば、08年の市場規模は11.2兆円に達していた。ところが、同年に起きたリーマン・ショックによる世界的不況の影響で、09年が10.5兆円、10年が10.2兆円、そして11年は東日本大震災の影響も加わり、9.9兆円と3年連続で市場は縮小している。ただし、11年末から売り上げが前年同月比でプラスに転じている分野が増えており、ようやく回復の兆しが見え始めているところだ。

市場の6割を占める「受注ソフトウェア」分野には、顧客企業の要望をくみ取る「要件定義」などの「上流」から、システム設計、そしてプログラミング・テストといった「下流」に至るまで、複数の工程が存在する。また、大きな案件になるほど、元請けから2次請け・3次請けへと仕事が委託される「階層構造」になるケースが多い。一般に、付加価値性の高い上流工程を担当する元請けの方が、下請けに比べて収益性が高いとされる。

従来の日本企業では、それなりの費用がかかっても、自社に合うシステムを作り込みたいという意向が強かった。ところが、08年以降の不景気により、システム開発に対してもコスト抑制の動きが強まる傾向にある。また、大手企業でのシステム導入は一巡。現在は、予算に限りのある中堅・中小企業がシステム導入を進めている段階だ。そのため、システム開発会社にとっては、汎用的な製品をできるだけ活用し、低価格でシステムを構築・提供することが大事になっている。そこで鍵を握るのが「クラウドコンピューティング」(キーワード参照)だ。ここ数年で、クラウドを利用したサービスを使う企業は急増。すでに「クラウドを使うか、使わないか」という段階は過ぎ、日本でも当たり前の存在として定着した。すべての従来型システム(レガシーシステム)がクラウドを利用したシステム(オープンシステム)に置き換わるわけではないが、クラウドの利用頻度は今後も高まるとみられる。

クラウドサービスを使う場合、自社の業務にシステムを合わせるのではなく、既存のサービスに自社の業務を合わせる割合が高まる。そのため、顧客に合わせたカスタマイズを行うことで売り上げを得てきたSIer(システム開発を請け負う企業のこと。システムインテグレーターとも呼ぶ)としては、厳しい状況だ。さらに、クラウド部門では一日の長がある外資系企業の進出、サーバーを持っているメーカーや通信系企業の参入なども加わり、国内SIerの競争環境は激化の一途。今後は、従来の「個社に合わせたシステムをゼロから作る」から、「多様なソリューションの中から最適なものを組み合わせて提案する」という方向性に発想を切り替えられた企業だけが生き残れるだろう。

国内市場が大きく成長することは期待しにくい。そこで、海外展開に活路を見いだす企業も増えている。特に、海外進出している日本メーカー・流通事業者などのシステム構築を狙う動きが活発だ。また、海外企業の買収・資本提携などで海外展開を目指す企業もある。例えば業界大手であるNTTデータの場合、米国KeaneInternational、Inc.の子会社化(10年12月)、シンガポールCornerstoneAsiaTechPte.Ltd.との資本提携(11年2月)、イタリアValueTeamS.p.A.の子会社化(11年6月)などの動きを見せた。野村総合研究所なども中国を中心としたアジア展開を加速中。業界志望者は、こうした動きにも注意を払うべきだろう。