スーツにホッケーのプロテクターをつけた雑誌『DEFENCE』の表紙

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先日、「日本初【守り勝ち】マガジン」と題した雑誌が創刊された。笠原出版社が発行する『DEFENCE(ディフェンス)』である。ディフェンスといえば、スポーツにおける守備や防御を思い浮かべるが、この雑誌のターゲットは「サラリーマン」だ。

ノマドといった言葉とともに、起業家やフリーランスの自由な働き方がもてはやされているが、それとはまったく逆のアプローチ。先行き不透明な時代に安易な転職や独立は危険すぎると、「今こそポジティブに会社にしがみつく時!」と呼びかけている。

「あ、それがあったか!」と大げさにジェスチャー

「安定した会社などない。会社にしがみつくなんて愚かな考えだ」なんて言えるのは、デキる人の特権。普通の人は、放り出されたって一人では生きていけない。会社に放り出されないための「しがみつき」にもそれなりの力が必要だ。

誌面には、さまざまな「会社から捨てられないテクニック」が書かれているが、目を引いたのは「新聞も本も読んでいないのに知的に見える!? 無知・無能を隠す会話」というコーナーだ。

営業先や会議中、自分の無知が露呈するピンチに、自分を守りつつ相手からの評価もアップさせてしまう会話術について、心理学者の内藤誼人(よしひと)氏がアドバイスをしている。

例えば、社内会議中に一人ひとり意見を述べさせられる中、ロクな考えが思い浮かばないときにはどうするか。他人の発言に

「あ、それがあったか!」

と大げさにジェスチャーすれば、その場を乗り切れるという。発言者の視点をおだてつつ、それに賛同してしまえば誰からも責められない。

また、部下から「○○さんは、どう考えているんですか」と問い詰められたら、

「△△さんは、どう考えているの?」

と逆質問で返すといいという。ピンチを切り抜けるどころか「○○さんは部下の意見も大切にしてくれる」と、器の大きさもアピールできる。

他にも記事では、直木賞の受賞作を読んだか聞かれたときには「いいえ、私は古典しか読みませんから」と返したり(単に読んでいないという答えより知的な印象を与える)、聞いたことのない時事ネタを振られたときには、相手の言葉をじっくり聞いた後に「世相ですね」と感慨深く締めくくればよいなど、いろいろな切り抜け方法を授けている。

小沢一郎さんも「君はどう考えてるの!」と言っていた

これを読んで、自分も先輩や上司に質問したときに、逆質問で返されたことがあったことを思い出した。そのときは、懐の深さに感心していたけど、本当は知らなかったのかもしれない。

もっとも、部下たちの考えに合わない答えを返せば、「あの人は使えない」「物事をよく考えてるとは思えない」と評価されるおそれがある。

また、上司の方が知識が多かったとしても、「それは当然○○だろ」と断じたり、「君の××の考えは甘いな」と突っぱねれば、部下の印象は悪くなる。ときには少々無知なふりをする方が、支持基盤を固めやすいともいえそうだ。

そういえば、あの小沢一郎さんも「逆質問」を使っていた。記者会見で「国会で説明責任を果たす考えは?」と尋ねられ、

「君はどう考えてるの!」

と返すと、記者は案の定、言葉に窮していた。

この場合は「無知・無能を隠す」例ではないと思うが、自分をよりデキる人に見せ、相手を圧倒することに成功する「逆質問」の使い方としては、参考になるのではないだろうか。(池田園子)