AIJ投資顧問会社の企業年金消失事件によって、大企業の会社員であっても将来への不安を覚えるようになった人は多い。しかも、日本の借金は世界最悪レベルで、いつインフレになってもおかしくはない。

 インフレになると円の価値が下落し、個人資産を抱える人でも、貯金などの金融資産や所得の価値が目減りし、生活レベルを落とさなければならない。そこで、金融のプロであるS&S investments代表の岡村聡さんは「今こそ海外投資に目を向けては」と提案する。

 著書『海外投資「超」入門』(東洋経済)では、インフレ不安がある日本で、海外投資をするメリットを解説。「為替は物価の推移によって概ね決まるので、インフレが起きないであろう外国を選んで、その国の通貨で資産を保有しておくと、日本でインフレが起きたとしても円安傾向になるため、資産の実質的価値を守り抜くことが可能です」(岡村さん)。

 例えば、1998年のロシアにおけるインフレ発生時には、ドル資産を持っていた人は、ルーブル建ての資産価値も維持できた。インフレ発生前に10万ルーブルをドルに換えて1万ドルとしておけば、インフレにより物価が1年で倍になったとしても、為替が1ドル=20ルーブルとルーブル安になり、ルーブル建ての資産も20万ルーブルと倍になる。そうやって、インフレの影響を回避した人が多かった。

 だからといって、比較的安定性が高そうな海外の金融商品に一気に投資するのは危険。岡村さんは、「重要なのは『分散』『積立』『インデックス』にある」と説く。

 「分散」とは、さまざまな資産カテゴリ(国債や株式の組み合わせなど)に分散して投資すること。「積立」は、予算をいきなりつぎ込むのではなく、毎月一定金額を投資していくようなスタイルのこと。無理のない金額を決めておけば、毎月同じことを機械的に繰り返していくだけで、その金融商品の価格が安いときに大量に購入できるというメリットが得られる。そして、結果として金融商品の平均購入額が安くなるのだ。

 最後に「インデックス」とは、日経平均やTOPIXなど、市場平均を表す指数(インデックス)どおりのリターンを目指すやり方。これは「分散」型の投資でもある。国内市場・海外市場だけに偏って投資をしていると、どうしてもリターンはその国のインデックスの推移がダイレクトに影響してしまう。分かりやすく言うと、国内市場が沈めば、個人資産も価値が下落するということだ。

 分散投資を徹底すれば、保有する銘柄の中に、インデックスが上昇しているものも、下降しているものもあるようになる。その総和が、最終的にプラスになるように銘柄のカテゴリを「分散」していくのが、「インデックス」型の投資方法なのだ。

 岡村さんが推奨する投資方法は、「月3万円を30年続ければ、1000万円が2500万円になる」といったもので、すぐに大量のリターンが得られるものではない。だが、その堅実さ故に、年金への不安が高まる現在では、その安定性が魅力的に見える。

 事実、個人投資で最も失敗しやすいパターンは、「たまたま手に入った高いリターンに酔ってしまい、自信過剰になってしまう人」だとか。こうした行動は、女性よりも男性に多いという。

 海外の調査によると、ひとつの銘柄を保有する平均期間は男性が1.3年に対し、女性が1.9年と半年ほど長い。しかもこの差は、既婚の男女間よりも、未婚の男女間で顕著になっている。物事に熱くなりやすく、守るべき家族もいないという男性は、投資行動にくれぐれもご注意を。




『個人投資で失敗しやすい人は「未婚男性」』
 著者:
 出版社:東洋経済新報社
 >>元の記事を見る





■ 関連記事
『マガジンハウスの新しいカルチャー誌『YUCARI』が3月21日発売 』(2012年3月19日08:00)
『平屋の魅力は「家族の連帯感」。ユニーク物件を紹介「立川空想不動産」』(2012年3月18日09:30)
『18きっぷで、旅の上級者の姿勢「身をゆだねる」「期待をしない」を学ぶ』(2012年3月17日09:00)


■配信元
WEB本の雑誌