CDレンタル・販売最大手の「TSUTAYA」店舗に、アイドルグループ「モーニング娘。」のCDが売られていない、などとネットで騒ぎになっている。

「TSUTAYA」と「モー娘。」事務所の間に何かトラブルがあったのでは、といった邪推も出ているのだが、「モー娘。」のCDを売らない店が増えているのは業界の流れ、などと説明するショップ関係者もいる。

TSUTAYA側は「全くの誤解です」

掲示板「2ちゃんねる」に2012年4月12日、「TSUTAYA『モー娘。のCDは入荷しないことにしました』」というスレッドが立った。千葉県内の「TSUTAYA」に行くと店員にそう告げられたのだという。すると書き込みの数が見る見る伸びていき、

「TSUTAYAに在庫確認したら 『そもそも入荷してません』って言われたことがあった」

という証言も飛び出した。

なぜ「モー娘。」のCDが店頭から消えたのかについて様々な推測が生まれ、ショップ店長を名乗る人物は、「モー娘。」のCDは返品が難しい買い取りだからリスクが高く置けなくなっている、などと報告した。また、ある大手チェーンが「モー娘。」とべったりだから、他のレコードチェーンがへそを曲げているというのもあった。

本当に「TSUTAYA」は「モー娘。」のCDの販売を止めたのだろうか。「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ広報に話を聞いてみると、特定のアーティストを名指しして排除することなどあり得ない、「ネットで騒がれているのは全くの誤解です」と説明した。ただし、ショップの棚には限りがあるため、全てのCDを網羅することは不可能であり、お客のニーズに沿った品揃えをすれば、過去に人気のあったジャンルでも置けないものは当然出てくる、という。

「3強」以外は「皆弱」

音楽評論家の加藤晋さんに取材すると、いま日本で売れているCD、DVDは、一部の大物グループ・アーティストを除けば、「ジャニーズ」「AKB48」「韓流」関連であり、これら3強そして皆弱の状態だと説明する。会社には仕入れの予算があり、多くをこの3強に注ぎ込んでいる。残りはロックなどの洋楽や、ジャズ、クラシックといった専門分野に振り分ける。

音楽業界も不況の波に飲まれ余裕が無くなっていて、何を切るかを考えたときに、例えば「AKB48」なら似たジャンルである「モー娘。」となるのは自然な流れ。そして「モー娘。」を置く余裕があれば、人気急上昇中のアイドルグループ「ももいろクローバーZ」を選択する担当者も増えている、と加藤さんは分析している。

「お付き合いで渋々置いたショップもありましたが、そんな状況ではありません。AKBの急成長が大きく影響し、モー娘。の店頭CD販売ルートが細くなった、そういうことだと思います」

と加藤さんは話している。