昨年夏、私は初めて『FACTA』の話を聞いた。たまたま、身近にこの会員制雑誌を購読している知人が何人かいた。彼らによると今後数ヶ月の間にオリンパスに大打撃が走るだろう、というものだった。経済界に疎い私は、詳しく聞きもせずにいた、
『解任』(早川書房)の著者マイケル・ウッドフォードは、当時のオリンパス社長で、後に取締役会全員一致で解任されながら、この会社の背任を告発してきた当事者である。
 日本の企業が海外から社長を迎える場合、往々にして様々なキャリアを積んできた人間であることが多いが、ウッドフォード氏は貧困のために16歳から働き始め、1981年にオリンパスの医療事業の英国代理店に勤務し、その後30年にわたり、この会社のサラリーマンとして働き頭角を現してきた人物だ。
 2011年4月にオリンパスの社長に就任したものの、実権は代表取締役会長の菊川剛の手にあり、一番大切な経理面については何も知らされていなかった。
 さてこの粉飾決算の経緯は、すでに詳しく報道されており、また本書にも詳しい。しかし一番興味深いのは、日本の常識は世界の常識ではない、ということだ。ウッドフォード氏側からの本であるから、丸呑みにはできないにせよ、海外の報道と日本のそれとの違いには唖然とさせられる。
 もしかしたら、日本はまだ鎖国状態にあるのではないか、そんな疑念さえ持ってしまいそうな「格差」を感じて欲しい。

(東えりか)







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