ケータイ2年縛り契約の自動更新は不当ではない、とドコモが勝訴。はたして解約金の根拠とは何なのか、ケータイ料金の仕組みが問われている

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 NTTドコモをはじめ、au(KDDI)やソフトバンクモバイルなど、ケータイキャリアの契約は“2年縛り”が事実上の標準となっている。ドコモを例にとると、2年契約が条件となる「ひとりでも割50」や「ファミ割MAX50」への加入で基本使用料が半額になるため、多くのユーザーが利用しているのだ。

 しかし、契約期間中に他社ケータイにMNP(モバイルナンバーポータビリテイ)で乗り換えると、9975円の「解約金」が発生する。解約金がかからないのは契約から2年満了時のわずか1ヵ月間で、この期間を過ぎると、自動的に契約が2年延長されるのだ。

 こうしたドコモの2年縛りと解約金の是非をめぐる裁判の判決が、3月28日、京都地方裁判所で言い渡された。原告は、消費者問題に長く取り組んできた京都のNPO法人「京都消費者契約ネットワーク」だ。

「MNPで、消費者が自由に携帯電話会社を選べるはずなのに、2年縛り+違約金条項がその選択権を不当に害しているというのが、私たちの主張です」(同NPO法人事務局長・長野浩三弁護士)

 しかし、同地裁はこの請求をあっさりと棄却。ドコモに軍配を上げた。今回の判決についてドコモは次のようにコメントする。

「当社の料金制度に問題がないことをご理解いただけたと認識しています。引き続きお客さまが使いやすい料金を検討していく所存です」(NTTドコモ広報部)

 これに対し、憤懣(ふんまん)やる方ないのが原告サイドだ。

「不当判決です。私たちの主張が正しく理解されていません。解約により見込まれるドコモの損害額についても確たる根拠なく、ドコモ側の陳述書をそのまま認めているのです。そもそも、この料金制度は、彼らの言うような『割り引き』ではなく、他社に対抗するために設定されたもので、それに顧客を囲い込むための『解約金』をくっつけたというのが本質です。今回の判決は、こうした部分を無視して、形式論だけで判断したものといえるでしょう。また2年経過後もさらに解約金を取る契約が続くのは、消費者がすでに一定期間拘束されたことを考えると合理性がないといえます」(前出・長野弁護士)

 しかし、こうした指摘に対してもドコモは涼しい顔だ。

「解約金9975円の根拠は、お客さまの便益、ドコモの費用など、総合的に考えて決定した金額で、利用期間に関係なく一律なのは、わかりやすさに配慮してのものです」(前出・ドコモ広報部)

“わかりやすさ”というが、ケータイの料金体系はさまざまなプランや割り引きが入り乱れて複雑なこと極まりない。解約金についても、残りの契約期間に応じて分割するなど、“お客さまの便益”をもっと考えてほしいが……。ケータイの料金に詳しいライターの後藤一泰氏はこう語る。

「ドコモの2年縛り契約の問題は、解約金のかからない期間が2年間でわずか1ヵ月間しかなく、一日でも過ぎれば自動延長されることでしょう。例えば、他社の最新ケータイに乗り換えたいと思っても、端末の発売日が2年縛りを解約できる月の翌月だった場合、MNPで購入すれば、当然、解約金が発生します。MNPという制度があってもユーザーがそれを存分に活用できていないのです。

 また、この契約自体が本体価格と結びついていることも問題です。2年縛りで契約すれば本体価格がタダなのに、縛りナシは5万円かかるというケースもあります。基本料金に加え、本体価格にもこれだけの差をつけられたら、縛りナシを選択する人はいないはず。2年縛りは単に契約期間と基本料金についての規定とし、本体価格とはリンクさせるべきではないと思います」

 なお、京都消費者契約ネットワークは、今回の地裁判決に対し、控訴の方針を明らかにしている。また、ソフトバンクモバイルやauとも、同様の訴訟が継続中だ。どんな判決が下されるのか、こちらも引き続き注目したい。

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