財政破綻の危機に瀕しているイタリアから、日本の未来の電力事情を物語るような“事件”が報じられた。

 シチリア島の州都、パレルモから南に10キロほどのモンレアーレ。この町自体が電力会社の滞納者リストに加えられたことによって送電が止められ、街灯などが消える事態になっているという。
 「夜になると懐中電灯を使うほかなく、治安悪化を恐れる声も上がっています。周知のように、イタリアの国家財政は、第2のギリシャという崖っぷちに立たされている。ハコモノを造り続け、その維持に赤字を垂れ流し続ける日本の自治体や公的機関の明日の姿ですよ」(電気専門紙記者)

 遠い異国の話とは言っていられない。東京電力は、原発停止による火力発電依存というコスト高の電力に移行することを念頭に、一般家庭の電気料金は7月から、契約電力が50キロワット以上の企業や官公庁に対しては、4月1日から平均17%の値上げを求めている。
 「大口顧客にしても一般家庭に対しても、値上げについては世論の動向を探りつつ曖昧模糊というのが東電のスタンスです。しかし、東電に対し値上げを不服として料金不払いをすれば、『電気を止める=息の根を止める』ことが可能。われわれが電気供給業者を決められないことが最大の不幸です」(電力会社に詳しいジャーナリスト)

 そこでしか買えないのに、金を払わない奴には売らないというのは、考えてみれば恐ろしい。
 「競争相手もいないのにコマーシャルをバンバン流していたのは、送電を止めるという最終兵器を持ちつつ、とにかく良いイメージを持ってもらおうと躍起になっていたということです」(同)

 この3月いっぱいで、マスコットキャラクター『でんこ』のクビが決まったという。イメージ向上策が無意味となった今、今度は情に訴えようというのか…。