マンションディベロッパー編

業界トレンドNEWS Vol.126

全国の新築マンションの半数が首都圏に集中。東京23区はそのうち何割?


■子育て・環境対応・耐震性・高齢者向けなど、特徴を打ち出した物件の建設が活発に

不動産経済研究所によれば、2001年から06年までの全国マンション発売戸数は、15.5万戸から17万戸程度で安定的に推移してきた。ところが、「耐震偽装建築問題」の影響で建築基準法が改正された07年、発売戸数は13.4万戸と大幅に減少。さらに、リーマン・ショックによる不況のあおりを受け、08年は9.8万戸、09年は8.0万戸にまで落ち込んだ。その後、10年は8.5万戸、11年は8.7万戸と増加。12年も、首都圏を中心に発売戸数は回復傾向にあるが、それでも従来の水準に比べればまだまだ低い状態だ。発売戸数が最も多いのは首都圏で、11年の発売戸数は4.4万戸。そのうち、東京23区内の発売戸数は1.9万戸だった。全国の新築マンションの約半数が首都圏に集中し、さらにその4割強が東京23区に集まっていることになる。少子化・人口減少が進む日本だが、都市部への人口流入は続くと見込まれているため、今後も首都圏・都心部のウェイトは高まりそうだ。

マンションディベロッパーは、物件仕入れのために多額の借入をすることが多い。そのため、市場が冷え込んだ08年以降、負債が膨らんだ新興ディベロッパーを中心に破たんが相次いだ。一方、賃貸事業やマンション管理事業、さらに不動産以外の事業などを展開している企業は、不況時でも経営基盤が相対的に安定していると言える。なお、主なディベロッパーは、三菱地所レジデンス、野村不動産ホールディングス、三井不動産レジデンシャルなどの総合不動産企業、大京などの独立系ディベロッパー、東急不動産、近鉄不動産などの鉄道系企業などに大別できる。また、あなぶき興産(本社:香川県高松市)、マリモ(本社:広島県広島市)のように、地方で存在感の大きいディベロッパーもある。

マンション購入の中心層は30代。都心部ではDINKS(共働きで子どものいない夫婦)層、郊外ではファミリー層の占める割合が大きい。そのため、これらの層に訴求するマンションの建設が活発に行われている。例えば大京などは、バイリンガル保育園や、英語だけが使われる学童保育施設を敷地内に設けた分譲マンション「ミリカ・ヒルズ」を建設。中堅ディベロッパーのリブランは、屋上菜園・エコ関連ワークショップなどが楽しめるマンションシリーズ「エコヴィレッジ」を建設している。また、11年3月の東日本大震災以降は、耐震性や被災対応力をアピールする物件も増えた。

11年5月、将来的にひっ迫が予想されている高齢者向け住宅需要に対応するため、「高齢者住まい法」が改正された(施行は11年10月)。これにより、高齢者対応をうたうマンションも増加の傾向にある。医療機関(聖路加病院など)、介護系企業(ベネッセなど)、警備会社(セコムなど)といった企業も参入しており、今後、成長が見込まれている分野だ。

中古不動産市場にも注目が集まっている。アメリカやイギリスでは、マンション市場の7割以上が中古物件だと言われるが、これまで日本では中古物件の取引が相対的に少なかった。しかし、不況の影響や、政府がマンションの耐久年数を引き上げる政策を打ち出していることなどがあり、日本でも本格化するだろうとみられている。中古マンションの「リノベーション」事業に乗り出すディベロッパーが、今後は増えるかもしれない。