同行取材 福島で「しまじろうカー」に乗り子供たちから大歓迎

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東日本大震災から1年と10日が経過した3月21日、記者はあるイベントに同行取材するために福島県郡山に向かった。

そのイベントとは、株式会社ベネッセコーポレーションが主催している「しまじろう応援ツアー」。

これは、同社が昨年の5月から行っている、岩手、宮城、茨城、千葉など、東日本大震災で被災した地域の幼稚園や保育園など約50か所を、“こどもちゃれんじ”から生まれた子供たちに人気のキャラクター「しまじろう」と、そのしまじろうをモチーフにした車「しまじろうカー」で巡るツアーである。

同社は以前にも震災後の福島県内でイベントをしたことがあるそうだが、「しまじろうカー」を伴って福島県内を回るのは今回が初めてとのこと。2日間をかけて南相馬市、本宮市の保育園や文化会館など5か所を巡った今回のツアーだが、記者はそのうちの2か所に、「しまじろうカー」に乗りながら同行させてもらった。

記者は以前に都内でリムジンに乗ったことがあり、その際も周囲の車から多くの注目を集めた記憶があったが、今回はそれの比ではない注目を浴びることとなった。対向する車のドライバーは、パトカーに乗る警察官まで含めて、ほとんどの人がこちらを二度見していく。

それもそのはず。しまじろうカーはこんな外見をしているのだ。

これは二度見しない方が嘘だというレベルのユニークな外見である。

しまじろうカーのこれまでの総走行距離は、25850km。これは、2008年に“こどもちゃれんじ”の20周年を記念して全国キャラバンをした際の走行記録も含まれている。しまじろうカーが公道を走るのは、それ以来のことだそうだ。

さて、写真に写っているのは「しまじろう」と、イベントの中で行われるショーの司会をしていた“ひろみお姉さん”。

このツアーの中で行われるショーは、しまじろうとお姉さんの2人がステージ上で仕切りながら、子供たちと遊んだり歌ったり踊ったりと、“一緒に楽しむ”ということがテーマになっている。

このテーマについて、同行していた株式会社ベネッセコーポレーションこどもちゃれんじ事業部の担当者の方は、「子供たちは遊ぶ中で元気になる。見ているだけではなく、体を動かして一緒に遊ぶことで、気持ちが整っていってくれればと願ってます」と話していた。

さて、1か所目に訪れたのは、園児約100人が待ってくれていた本宮市立第一保育所。

記者は最初、「本当に子供たちは一緒に動いてくれるのかな」と半信半疑に思ってしまっていたのだが、そんな心配は杞憂に終わった。

体を使ったじゃんけんに興じる子供たち。最初はグー!

じゃんけんぽい!

そして、お姉さんの歌に合わせて踊る子供たち。

見ているこちらが元気を貰えるくらい、子供たちは楽しそうにはしゃいでいた。

そして、2か所目の大玉村保育所。近隣の幼稚園からも子供たちが集まり、約200人の園児が迎えてくれたこの保育園だったが、ここで記者は非常に感動的な場面に遭遇することができたのである。


記者はしまじろうカーの助手席に乗っていたのだが、車がゆっくりと園庭の中に入っていくと、園庭を囲むようにして立っている保育園のベランダから大歓声と共に子供たちが出てきてくれたのだ。

少量ながら雪の降る寒さの中、裸足に薄着で、それでも満面の笑顔で子供たちが出迎えてくれる。記者は、早起きして始発で福島まで来た甲斐があったと感動していたのだが、ここでドライバーさんが気づいたのである。

「あ、子供たちはもしかして中にしまじろうが乗ってると思ってるんじゃないかなぁ…」

なるほど、そういうことか。しまじろうはこの時、子供たちに素敵なショーを見せるために準備中であったため、残念ながらしまじろうカーには乗ってなかった。ということで、中に乗っていた3人の成人男性は、「中にしまじろうがいるような雰囲気を出しつつ、車から降りましょう」という作戦会議をした上で車からゆっくりと降りることとなった。

当然ながら多くの園児たちが「だれ?このおじちゃんたち」というようなキョトンとした顔をしていたが、それでも先生たちを中心に拍手で迎えてくれ、その光景に記者はこれまでに経験したことのない感動を得ることができた。

そして、ショーの方はここでも大盛況。

最後には園児たちからの声を揃えた「あ・り・が・と・うございましたっ!」も聞くことができ、記者はまたまた感動したのであった。

今回記者は震災後の福島に初めて行ったのだが、正直に言うと、郡山や本宮では震災の被害の爪痕を感じるようなことはほとんどなかった。栄えた国道沿いや、会う人々の明るい挨拶。これらを見て記者は純粋に、「良いところだなぁ」と感じていた。

しかし、取材の中で撮り溜めた写真を見てみると、園児たちが喜んでいたしまじろうカーの後ろに放射線の線量計が写り込んでいるなど、この街が抱えるリアルな問題が写し出されていることに気が付いた。

まだまだ傷が癒えず、影響の残り続けている被災地で子供向けのショーをやることにどのような意味があるのか。

これについてヒントとなったのは、前出のベネッセの担当者の方の、「このツアーでは、子供に元気になってもらうことが最も大切なんですけど、実は子供の楽しむ姿を見て一番元気になるのは、まわりの大人たちなんです」というコメントだ。

確かに今回、記者自身も子供たちが無邪気に楽しむ姿を見て元気をもらえたし、保育園の先生方が子供たちと一緒に踊って歌って楽しんでいる姿も多く見られた。

子供たちが元気になることで、大人たちも元気になる。このツアーの中で「しまじろうカー」はそんなサイクルを色んな場所で作ってきたのだろう。そしてこれからも、この車は各地をまわっていくとのことである。

文/ 宇佐美連三