筋肉の疲労回復に効率的なストレッチとは?
久しぶりにランニングをした、自転車で長距離を走った、ジムで筋トレに負荷をかけ過ぎた……などで、激しい筋肉痛になったことはありませんか。
そこで、「筋肉痛を和らげるための効率的なストレッチ」について、ボディメイク・ダイエット専門家でボディメイク・スタジオ・Shapes(シェイプス)創業者の尾関紀輝(としあき)トレーナーにお話を伺いました。
■運動前は、日ごろ使われていない部位を目覚めさせる
尾関先生は、運動前のストレッチについて次のように説明します。
「日常生活では使われにくい部位の筋肉を目覚めさせ、次の運動を行いやすく、かつ筋肉痛を予防することを目的とします。
ただし、運動前に激しいストレッチを行うと、運動時のパフォーマンスが落ちる、また、逆に筋肉痛が起こりやすくなることもあります。ですから、『今から運動するぞ』という、心身のスイッチを入れる程度にとどめるようにしましょう」
具体的には、最優先部位の、「内もも」、「太もも裏」、「肩・脇周辺」の3点を次のようにストレッチしましょう。
<内もも>
足を体から真横に伸ばし、椅子や低いテーブル、台などの上に乗せます。口から息を吐きながら、5〜10秒を目安に内ももを伸ばします。背筋をまっすぐに伸ばし、胸を張るとより効果的。もう一方の足も同様に行います。
<太もも裏>
足を正面に伸ばして椅子や低めのテーブル、台などの上に乗せます。口から息を吐きながら、5〜10秒を目安に太ももの裏を伸ばします。背筋をまっすぐ、胸を張るようにするとより効果的。もう一方の足も同様に行います。
<肩・脇周辺>
右腕は顔の右斜め上に、左腕は背中の後方の左斜め下に、同時に遠くまで5〜10秒を目安に伸ばします(トップの写真参照)。口から細く長く息を吐きながら行いましょう。
右腕の脇の下から体側にかけてと、左腕の肩前に少し伸びを感じてください。左右反対の姿勢をとって同様に行います。
■運動後は、よく使う筋肉の緊張を緩和する
「運動後のストレッチは、多くの運動でよく使われる部位の疲労回復を目的としますが、筋肉の緊張を緩和することで、精神的リラックスを促す効果もあります。太ももの前とふくらはぎの2点をストレッチすると効果的です」と尾関トレーナー。
<太もも前>
床に座り、両足を前に出して背中の後方に両手をつきます。片方の膝(ひざ)を曲げ、もう一方の足は前に伸ばし、上体を後ろに傾けます。口から細く長く息を吐きながら、曲げた方の太ももの前を10〜20秒伸ばします。
腰を反りすぎないように注意してください。伸びをもっと感じたい場合は、曲げた足の膝(ひざ)の裏に、丸めたフェイスタオルを挟むとよいでしょう。左右の足を入れ替えて、同様に行います。
<ふくらはぎ>
椅子やテーブル、壁などに両手をつき、片方の足を膝(ひざ)を伸ばすイメージで後方に置きます。もう一方の足は膝を軽く曲げて自然なポジションに。
後ろに伸ばしたかかとが床から浮かないよう、ふくらはぎに少し伸びを感じながら、口から細く長く息を吐いて10秒〜20秒を目安にストレッチ。左右の足を入れ替えて、同様に行います。
最後に尾関トレーナーは、こうアドバイスを加えます。
「日常生活に差し支えるような筋肉痛があるときには、ストレッチを含め、体を動かさない休息が必要です。痛みを和らげようとしてストレッチを行うと、かえって痛みを強くしてしまうこともあるからです。
こういう場合は、アスピリンなど鎮痛薬を使用するのも効果的です。アスピリンは一般的に頭痛薬として知られているようですが、筋肉痛や腰痛などの痛みも鎮めてくれます」
運動前には日ごろ使わない部位を、運動後にはよく使う部位の筋肉を伸ばすのが効果的であり、痛みがひどい場合はアスピリンなど鎮痛薬の力を借りることも有用だということです。
みなさんも筋肉痛と上手く付き合いながら、スポーツライフを楽しんでください。
(海野愛子/ユンブル)
監修:尾関紀輝氏。ボディメイク・スタジオ・Shapes(シェイプス)創業者。AFAA認定パーソナルトレーナー。「ダイエット・ボディメイク専門のパーソナルトレーナー」の日本における第一人者。指導歴は20年以上、1万人超の指導実績を持つ。『おなか周りスッキリ腹凹トレ』(池田書店)、『きほんのダイエット』(池田書店)、『体脂肪を落とすトレーニングプログラム』(西東社)、『一日5分で変わる体脂肪筋力トレーニング』(西東社)など著書多数。http://www.ozekitoshiaki.com/