女子小中学生140万人に指示される「安くてかわいい商品」を開発

WOMAN’S CAREER Vol.82

株式会社サン宝石 神崎仁美さん

【活躍する女性社員】女子小中学生に大人気の雑貨のデザイナーを務める神崎仁美さん


■仕事と家庭を両立し、同じような立場に立つ後輩を支援したい

女子小中学生を対象にアクセサリー・雑貨の通信販売を行うサン宝石。低価格で多彩な商品ラインナップが評価されて通販会員は140万人に上り、オリジナルキャラクター「ほっぺちゃん」のストラップやシールなど関連商品の累計販売数が168万個を超えるなど、女子小中学生から絶大な人気を誇っている。神崎さんは入社以来、山梨県にある本社の商品企画開発部門のデザイナーとしてヒット商品を生み出している。

サン宝石のデザイナーの役割は多岐にわたり、商品デザインのみならず、市場調査や売り上げ分析、試作品制作、発注、量産前のサンプルチェック、カタログ掲載時の見せ方の検討まで、商品を企画し、形にするほとんどの工程を担当する。その中で肝となるのが、商品の企画だ。今でこそカタログ内で上位の売り上げを挙げる商品を企画する神崎さんだが、入社後数年間は「何が売れるかわからない」状態が続いたという。
「入社する直前まで一顧客として商品を購入していたので、『自分が欲しいものを作れば売れるのでは?』と思っていました。ところが、カタログの中でどの商品が売れるか?という予測を先輩とし合っても、私の予測はまったく当たりませんでしたし、担当商品の売り上げも、カタログ1冊あたりの掲載商品約1000点の中で200〜500位に入るものの、トップに躍り出ることはありませんでした」

チームの先輩2人について仕事を学び、試行錯誤しながら売り上げデータの分析を重ね、手応えを感じたのは入社4年目。シュシュに小さなクマのぬいぐるみをつけた雑貨「ラブリーベアつきシュシュストラップ」が2万個近く購入され、カタログ内の売り上げで8位に入ったのだ。
「売り上げを出せた要因は、シュシュとしてもストラップとしても使えるという、複数の使い方ができる商品にしたこと。売り上げを分析していると、何通りもの使い方ができる商品は多少値段が高くても売れていましたし、カタログにはそれぞれの使い方の写真を掲載するので、ビジュアルに訴えやすいのです。何かに何かをプラスしたり、マイナスしたり、掛け合わせたりすることは普段から意識していたので、当時流行していたクマとシュシュを掛け合わせ、複数の用途で使えるこの商品を考えました。結果が見えたときには『やった!』と思いましたね。これまで試行錯誤してきた売り上げデータの見方が生きてきたことを感じ、視界が広がったような気がしました」

この結果の背景には、並行して担当していた少女マンガ雑誌や女子小中学生向けファッション誌に出す広告の仕事で、売り上げデータを分析する視点が鍛えられたからだと、神崎さんは話す。
「高い広告料を払って商品を紹介するため、いかに読者に反応してもらえる商品を紹介し、費用対効果を高めるかをかなり意識しました。読者が求める商品や売れ筋商品の傾向について売り上げデータから仮説を立て、自分なりにデータを整理・分類することを繰り返したことで、なんとなく『こんな商品が売れるのでは?』ということがわかり始めてきたのです。そこに『ラブリーベアつきシュシュストラップ』のヒットという結果が出て、自信が持てました。その後は、売れる商品を年々客観的に判断できるようになってきているように思います」

また、同じく4年目には特定の商品群を担当するチームをまとめるチームリーダーとなり、5年目以降はデザイナーをまとめるリーダーをサポートするサブリーダーを担い、メンバーの模範となることを心がけている。
「4年目に初めてチームリーダーになったときは、『自分がどうにかしなきゃ』『ビジネスの場で弱音を吐いてはダメだ』という意識が強くて、仕事を抱え込みすぎたうえに、仕事が回らなくなりそうになっても上司に報告せず、発注などの締め切りに間に合わないことがたびたびありました。5年目にサブリーダーとなったときは、4年目の反省を糧に『今度は絶対にメンバーのお手本となるようにしよう』と決め、上司への報告や連絡、相談を適宜行い、常に段取りやスケジュールを見直すようにしました。その結果、『神崎さんの仕事の進め方をメンバー全員に共有する講座を開いてほしい』という指示を上司から受けたのです。認めてもらえたのかな、と感じました」

プライベートでは2年目に結婚し、3年目に長男を、6年目に次男を出産。最初の出産では、仕事を続けるかどうか迷ったこともあったという。
「当時、社内では仕事と育児・介護との両立支援の環境が整い始めたばかりで、子育てをしながら働く先輩も数えるほどだったので、『辞めようか』と悩んだこともありました。でも、当時の社長や上司から『戻ってきて活躍してくれる方がいい』と励まされ、環境を整えてもらえたことに感謝しています。また、子どもが生まれ、子どもを基準に人生設計を考えるようになってからは、子どもに手がかかる期間は長い社会人生活の中でほんの数年間のことだと気づき、焦りがなくなりました。数年間は職場に迷惑をかけるかもしれませんが、その後の長い雇用期間で恩返しだって、仕事で華を咲かせることだってできます。だから、これから社会に出る皆さんには悩まずとも大丈夫と伝えたいですね。今は300名弱の会社ですが、今後、人が増え、育ってきたら、新しい分野にも挑戦したいと思っています。例えば、多岐にわたるデザイナーの仕事を分業し、売り上げ分析と商品提案に特化した部署を10〜20年後くらいに作りたいですね」