15歳以下のユーザーのソーシャル的機能を制限した「アメーバピグ」。2ちゃんねる元管理人の西村博之氏(ひろゆき)と、チームラボ代表の猪子寿之氏が『週刊プレイボーイ』誌上で、制限の理由とその是非について語り合った。

 日本のネット文化をけん引するふたりは、世代もほぼ同じ。意見は一致するかと思いきや、今回の件については微妙に見解が異なる。

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【ひろゆき】僕は単純にコストの問題だと思うんですよね。邪推ですけど、援交狙いとかで子供に声をかける大人が多くて、その対策に費用をかけるぐらいだったら止めちゃおうぜ、と判断したんじゃないかと思うんですよね。

【猪子】でも、自主規制しておいたほうが、法的に規制されるよりもいいと思ったのが実情じゃない?

 対策にかかるコストが最大の理由だったと見るひろゆき氏に対し、猪子氏は、法規制される前に先手を打つことで企業イメージを守るためではないかと推測する。

 そして、話は年齢規制の是非へと続く。

【猪子】子供たちはかわいそうだよね。もしかしたらアメーバピグみたいなものは、大人たちから知見を学べるチャンスでもあったかもしれないのにさ。社会のことは少しでも早く知ったほうがいいわけじゃん。俺が子供だったら、そう思うもん。

【ひろゆき】猪子さんの言っていることは、賢い子であればいいと思います。でも、実際は賢くない子が被害に遭っちゃうんですよ。だって、賢い子なら年齢を偽ってサービスを利用したり、いくらでも抜け道を見つけられるわけですよ。実際、15歳以下であっても登録時に18歳としてしまえば普通に使えるわけでしょ。だから、15歳以下と正直に答える子が網にかかるだけで、ずる賢い子は何も変わっていない。ただ、サービス提供者はそんなことを堂々と言えるはずないですよね。だから個人的な意見を言うと僕は制限をしたほうがいいと思うんです。

【猪子】でもさ、自分たちを規制する法律ができるかもしれないとか、踏み込まれるかもしれないとか、いわゆる社会的なプレッシャーがあるのは事実じゃん。企業としては検察の捜査対象になるよりも15歳以下のユーザーを切るほうがリスクは圧倒的に低いから、今回の件はひろゆきさんが言うように企業としては普通の行為だとは思うよ。でも、その判断理由として社会的プレッシャーがあることが、俺は嫌なのね。

 猪子氏が「判断理由」にこだわるのは、自主規制によって、新しいものを生み出すモチベーションが下がることがあると懸念するからだ。ネットと青少年保護をめぐる今回のような事例は、今後も増え続けるだろう。

(取材/杉原光徳)

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