ニュースの教室:11限目「入社式」 ―語るべきことを語れる人はどこに―

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4月1日(日)、2日(月)にかけて全国一斉に入社式が行われた。
厚労省の発表では、今春の新入社員は大卒・高卒合わせて
約66万人(2月時点)。
就職率はやや改善されたが、入社式のニュースはやや減少気味だ。
入社式は、なぜ話題になりにくくなったのだろうか。

パナソニックはパナソニック電工と三洋電機を統合後、初の入社式。
約350人の新入社員を前に、大坪文雄社長は、
「新興国での差が韓国や中国企業との成長力の差につながっている。
世界に通じる専門能力を身につけてほしい」と呼びかけた。

ソニーの入社式では、4月1日に就任した平井一夫社長が、
「ソニーを全力で皆さんと変えていく」と強調した。(4月2日日経)

事業変革の遅れで赤字を出した反省を踏まえての訓辞だろう。
両社長の言葉は、新人たちに響いただろうか。

損失隠しの粉飾決算事件で、旧経営陣が起訴されたオリンパスは、
八王子市の事業所に、新入社員約90人を集めて入社式を開催した。
しかし「新入社員のメンタル面を考慮して」非公開。(4月2日朝日)
「皆さんの選択が正しかったと言えるよう信頼回復に全力を挙げる」
との高山修一社長の訓辞(4月2日日経)と、
「厳しい局面を乗り越えた先に、新生オリンパスが待っている」
との笹次期社長の訓辞が伝えられた。(4月2日時事)

創業者一族の前会長が特別背任罪に問われた大王製紙も、
約130人が出席した入社式を報道陣に公開しなかった。(4月2日朝日)
佐光正義社長は、事件について陳謝した上で、
「上司や周りから評価され、信頼されることは決して楽ではない」
と述べ、新人たちに努力を求めたという。(4月2日時事)

その一方で新鮮な入社式も伝えられた。

高島屋は新入社員79人にカジュアルな装いを求め、
役員も軽装で出席する入社式となった。
鈴木弘治社長が、
「変化に対応できるよう、新しい発想で積極的に提案してほしい」
と挨拶した後、役員と新入社員が今後の事業展開を議論した。

ローソンは都内で新人98人を集めて入社式を開いた。
その2割強の21人が中国やベトナムなど外国人だった。
新浪剛史社長は、
「仕事は苦しいが得るものも大きい」と呼び掛けた。


日本電産の永守重信社長は、新入社員132人を前に、
「グローバル人材に向かって、英語力と専門能力向上に全力をあげ、
1年間は下積み仕事にも精を出してほしい」と訓示した。(4月1日日経)


コニカミノルタホールディングスは、
直営するプラネタリウムで入社式を開いた。
外国人枠で採用された9人を含めた111人の新人が集まった。
新入社員代表として、中国国籍の李星月さんが、
「私たちのメッセージは"革新はあなたのために"です」
と英語でスピーチした。(4月2日NEWS24)

1ヶ月前に入社式を終えている会社もあった。
ファーストリテイリングは3月2日、国内採用の273人を集めた。
柳井正会長は、「急成長を進められる人、グローバル社員が必要」
と海外で通用するスキルを強く求めた。(3月2日日経)
来年は新卒一括採用を離脱する、同社ならではの入社式前倒しだ。


日本の行政、産業、企業、しくみが大きな変革を迫られている。
それを口にする政治家や経営者は多くなってきた。
だが実行のために自らを変革できる人は、まだホンの一握りだ。


文●楢木望
ビジネスエッセイスト/ライフマネジメント研究所所長
『月刊就職ジャーナル』編集長、『月刊海外旅行情報』編集長を歴任。その後、ライフマネジメント研究所を設立、所長に就任。採用・教育コンサルタント、就職コンサルタント、経営コンサルタント。著書に『内定したら読む本』など。