未来の日本を支える人材を世界に通用するレベルへと高めたい

就職白書2012 | Vol.01

アイリスオーヤマ株式会社 倉茂基一さん

未来の日本を支える人材を世界に通用するレベルへと高めたい


■被災後も計画通りの採用を実施。東北から日本を元気にしていく

2011年3月11日の震災では、当社の仙台本社や近郊にある主力工場が被災した上、電力の供給停止による影響も受け、一時的に操業がストップ。が、全国8つの工場と補完し合うことで早期に通常操業に戻れることが予想されましたから、採用の縮小など考えもしませんでした。何より、東北の一企業として、被災地である地元はもちろん、日本全体に元気を与えたいという思いがあったので、いかに早く採用活動を再開し、通常サイクルに戻すかを考えていましたね。

とはいえ、震災直後には電気などの生活インフラや交通機関が止まってしまったため、地元の学生が動くことはままならず、一方で当社の人事担当が東京や大阪に行くこともできない状況に。約1カ月半は採用活動を停止せざるを得ませんでした。それを不安に感じる学生もいると考え、被災から1週間後、電力環境が復旧した時点で、エントリーしていただいたすべての学生に「アイリスオーヤマは被災したけれど大丈夫。選考は順次スタートするので、もう少し待っていてください」という内容のメールを送ることにしました。後日、内定した学生から「本社に電話が通じない状態で不安になりましたが、メールのおかげで安心して待つことができました」と言ってもらえましたね。

採用活動を再開できたのは4月下旬。毎年、宮城県からの応募者数が多いのですが、やはり震災の影響のためか辞退者もいて、離脱率は平年よりも高かった。エントリーする学生の総数も、例年より300名程度減少しました。社員の中にも「両親から東京に帰ってきてほしいと言われた」という者がいたくらいですから、東北の企業で働くことに本人が迷いを感じたり、家族が不安を抱くケースもあったのではないかと思います。しかし、「それでもアイリスオーヤマで働きたい!」という強い思いを抱いている人たちが来てくれた。結果的に、選考を受ける学生たちの意欲は非常に高く、熱意ある人材を採用することができたと感じています。

学生の中には、被災地の企業に対して将来の不安を感じる人もいるかもしれません。しかし、当社はLED照明事業や幅広い生活用品の商品企画事業など、続々と新たな事業展開をしており、2011年度の売り上げは1000億円を達成、2012年度の事業計画では1350億円の売り上げを目指しています。それにともない、採用数についても2013年卒は大卒のみで100名、そこに高卒、中途採用を合わせてトータル230〜240名という、大規模な採用計画を予定。さまざまなピンチをチャンスに変えてきた当社にとって、被災の影響は事業計画や今後の展開においてまったく関係のないものと考えています。

アイリスオーヤマは、かつてオイルショックによる打撃を受け、経営危機に陥ったこともあります。それでもなんとか乗り越えて、新たな事業を展開し、インテリア、園芸、ペット用品の市場において企業ブランドを確立してきました。そして、これらの市場が飽和状態になることも見越し、2010年の時点でLED照明市場に本格参入、現在は業界トップクラスのシェアにまで成長しています。また、2011年からは家電や飲料などの新規事業にも力を入れ、新たな顧客層をつかみつつあります。つまり、当社には「常に変化に対応し、チャレンジしていく企業体質」がもともとあったのです。

これからの時代はグローバルな規模での競争や変化が起こり、多くの企業がその対応に直面するものと予想されます。10年、20年先に会社を取り巻く状況がどうなっているのかは誰にもわからない。当社社長の大山は、「変化をいち早く察知し、変化の先頭を走る」という考えを持っています。「これでいい」と思うことはなく、もっと上を目指していくのが当社のスタイル。今後も新しい事業にチャレンジし、イノベーションを続ける会社でありたい。そして、この考えを共有して一緒に突き進んでいける人材を集めていきたいと考えています。まずはLED照明事業で世界ナンバー1のメーカーを目指し、東北の地から日本全体を元気にしていくことが、私たちの使命です。


■仕事を通じてどう生きたいか。自分の本質を育て、企業を見極め

今の時代は、大手企業であっても世の中の変化に対応しきれず経営破綻に陥るケースがめずらしくありません。学生には、企業のブランドや話題性に注目するのではなく、その企業が変化への対応力を持っているか、数十年後にも存続できるのかどうかを見極めてほしいですね。また、多くの企業がグローバル採用に動き出している状況ですが、海外の学生は日本の学生に比べて意欲も能力も高く、何よりハングリーさを持っています。人材採用が完全にグローバル化したら、日本の学生は生き残れないかもしれない。学生の皆さんには、そうした危機感を持ってほしいと感じています。

最も重要なことは、「仕事を通じてどう生きていきたいか」という明確な軸や、自分なりの価値観を持つこと。就職活動は学生と企業のお見合いのようなものですから、そこがブレていたら良い結果にはなりません。当社社長の大山は「面構えを見れば、どう生きてきたかがわかる」とよく言っています。今のうちから目に輝きを持てるような生き方をして、自分の本質を育ててほしいと思います。そうした人物こそが、オフロード(舗装されていない道)を自ら突き進んでいける人材になると考えています。