電子マネー編

業界トレンドNEWS Vol.125

市場は順調に拡大。電子マネーで初めて年間決済総額が1兆円を突破したのは?


■市場は順調に拡大中。他業界との連携など利便性を高めて会員を増やす動きがさらに活発化

電子マネーとは、ICチップを搭載したカードや携帯電話を、読み取り用の端末にかざして決済するサービスのこと。お金を事前に入金(チャージ)して使う「前払い(プリペイド)式」と、一定期間内に購入した代金を後日まとめて支払う「後払い(ポストペイ)式」とがある。前払い式の代表格としては、流通・小売系のnanaco(セブン&アイ・ホールディングス)やWAON(イオン)、交通系のSuica(JR東日本)、ICOCA(JR西日本)、PASMO(首都圏の私鉄・地下鉄・バス)、楽天の子会社であるビットワレットが運営するEdyが挙げられる。一方、後払い式にはiD(NTTドコモ)、PiTaPa(関西圏の私鉄・地下鉄・バス)などがある。

ここ数年、電子マネー市場は急激に拡大中だ。日本銀行決済機構局の調査「最近の電子マネーの動向について(2011年)」によれば、nanaco、WAON、Suica、ICOCA、PASMO、SUGOCA(JR九州)、Kitaca(JR北海道)、Edyの2007年末時点における総発行枚数は7326万枚。これが、08年末には9885万枚、09年末には1億2426万枚、10年末には1億4647枚と順調に増加している。また、イオンは12年2月期におけるWAONの年間決済総額が、主要電子マネーの中で初めて1兆円を突破したと発表。決済件数・金額の面でも成長していることが見て取れる。電子マネー機能が内蔵されたスマートフォンが増えていることも追い風となっており、12年も市場は拡大する予測だ。

各社は、買い物額に応じてポイントを付与したり、電子マネーを使える店舗数を増やしたりするなどの工夫で、利用者増を目指している。特にこのところ目に付くのが、他社と連携して利便性を高めようとする動きだ。例えばWAONを運営するイオンリテールは、大手家電量販店のビックカメラで買い物をした人に、ビックカメラの通常ポイント還元に加えてWAONのポイントも加算するサービスを開始。また、ビットワレットはEdyに対応したKDDIのスマートフォンで、購買履歴をもとにした割引クーポンを発行するなど、さまざまな共同展開を検討中とされる。Suica、PASMOなどの交通系電子マネーも、「駅ナカ」以外の店舗やタクシーでの決済など、利用範囲が拡大中。今後も、他社と協力して電子マネーの魅力を高めようとする試みは盛んに行われるだろう。

電子マネーによる購買履歴など、いわゆる「ビッグデータ」(データベース上に集められた巨大なデータを指す)の活用を目指す企業も多い。例えば、JR東日本ウォータービジネスは、Suicaの決済データなどを分析し、それに基づいて果汁ジュースの新製品を開発した。また、購買履歴に合わせ、顧客の携帯端末にクーポンやお勧め商品情報を配信するなどの取り組みも進んでいる。

現在、日本国内で展開されている電子マネーは、ソニーによって開発された「FeliCa(フェリカ)」という技術を利用していることが多い。しかし、世界的には「NFC」という規格が主流となりつつある。NFC対応のスマートフォンも登場しつつあり、今後は国際規格への対応が急ピッチで進められる可能性が高い。この業界を志望する学生は、関連ニュースに注目しておきたい。