がん治療 実は知らない「再発」

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 「がん」は今や、日本人の死因として最も多いとされている。それだけに、この病気に関しては闘病記や食餌療法、病気との付き合い方についてのものまでありとあらゆる本が出版されてきたが、これまであまり取り上げられてこなかったテーマもある。
 その一つが、がんの「再発」だ。
 がん再発の告知は、患者本人にも家族にも初発の告知よりも大きな衝撃や不安が伴うものだが、「再発がん」との向き合い方や治療法などについての本は少ない。
 『もしも、がんが再発したら』(国立がん研究センターがん対策情報センター/編著、英治出版/刊)は、がんの再発をどのように捉え、どのように治療していけばいいのかということについて書かれた本である。タイトルに「もしも」とあるように、実際の再発がん患者だけでなく、再発を不安に感じる患者に対しても参考になる体験談が盛り込まれている。がんの専門家と体験者が2年もの検討を重ねた末に刊行されたということもあり、発売当初から関係者の間で反響を呼んでいる。
 今回は本書のなかから、「再発がん」の治療において重要になる点を一部紹介する。

■治療の目的は「初発がん」と「再発がん」で異なる
 多くの場合、転移・再発したがんの治療は、初回の治療とは異なる。
 初回の治療では、多くはがんが臓器の中にとどまっているため、根治を目標にして治療を行うが、再発がんの場合、局所再発などのケースを除きそれが困難となる場合が多く、がんの進行を抑えたり、がんによる症状を和らげたりすることが目標となる。
 がん治療には主に「抗がん剤治療」「放射線治療」「手術」「緩和ケア」があり、それぞれの特徴を踏まえたうえで、適切なものを単独か、あるいは組み合わせて行う。特に再発がんの場合、患者によって症状がかなり異なるため、どのようにがんと向き合いたいか、そのように生きたいか、といった「治療の目的」を担当医としっかりとすり合わせておくことが重要だといえる。

■「効く」「有効」「治る」医師の言葉のほんとうの意味は?
 がん治療において、医師と患者やその家族の間で治療に対する理解を深めることが大切になる。しかし、同じ言葉でも医師と患者が異なったニュアンスで受け取っているケースが多々あるのだ。
 たとえば医師から「効く」と言われると、患者や家族はがんがなくなったり、寿命が延びたりといった直接的な効果を想像しがちだが、医師は「がんが小さくなる」「がんの進行が抑えられる」といった意味で使っていることがある。こういった齟齬は「有効」「治る」などといった言葉でも生じる可能性あり、治療に関する会話がかみ合わなくなってしまう原因ともなる。
 そういったことをなくすためにも、医師が使っている言葉がわからなかったり、会話がかみ合っていないと思ったりしたら、遠慮せずに確認することが必要なのだ。

 本書には「治療法の選択」や「痛みや苦痛・不安との向き合い方」「未承認薬の使用」「補完代替医療」など再発がん患者やその家族が抱えがちな悩みのそれぞれに、再発がん患者の体験談が添えられ、解説されている。
 「これまでの治療は何だったのか」
 「あれほど苦しい思いをしたのに、また同じ治療をしないといけないのか」
 再発がんには無力感と絶望がつきまとい、苦しみを分かち合えない孤独感も強い。本書で語られている再発がん経験者の言葉はそんな孤独を少しだけ和らげてくれるかもしれない。また、患者本人だけでなく、その家族や友人など、患者を支える人々にとっても大いに役立つはずだ。
(新刊JP編集部)


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