学生と企業がお互いを理解し合える、適材適所に不可欠なプロセス

就職白書2012 | Vol.05

プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社 ラトゥール・ゴッシュさん

学生と企業がお互いを理解し合える、適材適所に不可欠なプロセス


■入社後にやりたいこと、できることを具体的にイメージさせる

当社は、「人」を大切にする企業です。人材こそが会社の未来を担う最も重要な資源だと考えているからです。ですから、新卒採用では学生に当社の企業戦略や業務内容を正しく理解してもらうことを最優先に考えています。その意味でインターンシップの果たす役割は大きいですね。この制度を利用した学生は、数日間〜一週間かけて社内で社員と働きながら課題に取り組むので、会社のことをより詳しく知ることができるし、入社後、自分が社内でやりたいこと、できることの具体的なイメージを持つことができます。その効果は、当社の入社後の離職率や転職率の低さにも表れていると実感できます。また私たちにとっても、学生の資質に加えて現場での対応力を考慮に入れた適材適所の配置ができるので、双方に大きなメリットをもたらしています。

P&Gでは、世界80カ国以上の拠点で、185の異なる国籍を持つ人々が年齢や性別の差別なく働くダイバーシティ(多様性)を推進しています。世界各地で採用を行っているので、各国の事情によってインターンシップの在り方も異なりますが、学生に実社会を体験してもらう「素晴らしい機会を与える」という目的は同じで、日本だけではなく多くの国で、インターンシップのパイオニア的な役割を果たしてきました。海外では、インターンシップの期間は2カ月間(8週間)が一般的です。学生は制度を利用して働き、報酬を得るという目的もありますが、日本では、採用活動の一部として、学生が会社のことをより深く学ぶために制度を利用するというのが特徴です。いずれの場合も、私たちが大切にしているのは、どんな人を何人採用したかということではなく、どうやって人を選んでいくかというプロセスです。

社員が活用している社内メンター(※)も、内定後から利用できます。メンターは、学校の先輩だったり、インターンシッププログラムの指導者だったり、学生によって異なりますが、会社に対する不安をいつでも相談できる仕組みを社内に用意しています。例えば、私の現在のメンターは、シンガポールオフィスで働いているドイツ人です。彼は、以前P&Gジャパンで働いていたことがあるので、業務のみならず生活全般のことも相談しています。「外国人」としての日本社会の立場なども参考になりました。学生は入社後、業務に慣れてくると、新たに仕事上有益なメンターを探すなど、積極的にこの仕組みを活用しています。インターンシップや、社内メンターを通じて、私たちも学生が、入社後、効率的にビジネスに貢献し、ともに成長していける姿を見守ることができるのです。
(※)仕事やキャリアの先輩として仕事面や精神面でアドバイザーになってくれる人のこと。


■学校の知識とビジネス社会での経験、両者のバランスが大切

日本の学生を見ていて感じるのは、学問や知識のレベルはものすごく高いのに、ビジネス社会での実践力を磨く機会が少ないということです。大学の勉強の一環に、ビジネススクールのような、プレゼンテーション力や企画を通す力などを身につける機会があるといいですね。例えば、私の母国、インドでは、多くの学生が学士課程修了後に、修士課程でビジネスを勉強し実践力を身につけ、自分がいかに有益な人材であるかをアピールします。これに対し、日本の学生は、自分に何ができるかより、何をやらせてくれるかという仕事の質を重視する傾向があります。仕事への忠誠心は強いですね。学生がビジネスに染まっていない分、斬新な発想が生まれるという利点もありますから、バランスが大切です。社会全体の取り組みになるので、変化には長い月日が必要になると思います。インターンシップのように、学生が実際の会社の空気に触れること、その会社の文化を感じることは、とても貴重な機会になるはずです。P&Gに限らず、できるだけ多くそういう機会を持ち、自分がどういう職種で企業や社会に貢献できるのか見極めていってはどうでしょうか。