他の仲間とつながって大きく育って欲しい

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日本生産性本部「職業のあり方研究会」が、平成24(2012)年度の「新入社員の特徴」を発表した。恒例のネーミングには「奇跡の一本松型」が選定され、その理由には次のような期待が込められているという。

「今のところは未知数だが、先輩の胸を借りる(接木)などしながらその個性や能力(種子や穂)を育てて行けば、やがてはどんな部署でもやっていける(移植)だろうし、他の仲間とつながって大きく育っていく(松原)だろう」

職種が多様化。もう同じネーミングで括れない

どの世代にも当てはまりそうな一般論に思えるが、新卒採用者が激減する中、激戦をくぐりぬけて「たった一人の入社」を果たした人には、ふさわしいかもしれない。ただ、このネーミングはネット上では評判がよくない。

「こじつけが無理すぎる」
「要するに根腐れ新入社員か」
「一年もたずに退職するって言いたいんだろ」

ネーミングは例年、時事的な話題や流行商品を反映してつけられている。上野動物園にパンダがやって来た翌年の昭和48(1973)年度は「おとなしく可愛いが、人になつかず世話が大変」な「パンダ型」、昭和60(1985)年度は「もまないと熱くならず、扱い方もむずかしい」「使い捨てカイロ型」と名づけられている。

1年前に決定はしていたが、震災のため発表が見送られた平成23(2011)年度新入社員のネーミングは「はやぶさ型」。前年に地球に帰還した小惑星探査機の愛称から取られていて、「最初は音信不通になったり、制御不能になったりでハラハラさせられるが、長い目で見れば期待した成果をあげることができるだろう」という凝った説明がついている。

とはいえ、同じ年の新人をひと括りで説明することに無理があるという声は、ずいぶん前から聞かれている。企画が始まった頃と比べると、新卒の就職先はIT関係など新しい職種が急増しており、事務系ホワイトカラーなどの「典型的なサラリーマン」ばかりでなくなった。

文部科学省の調べでは、大学新卒の就職率は61.6%。「採用といえば新卒一括」でもなくなっている。今回の「一本松型」の説明にも、古さがにじみ出ているという指摘もある。

「就社から就職へとか、人材の専門性が大事とかと言われているご時勢に、『やがてはどんな部署でもやっていける』という、いかにもサラリーマン的なゼネラリストを期待する表現は明らかに時代遅れだ」

というのが、その主旨だ。企画が限界を迎えており、40周年を迎える次回の平成25(2013)年度版が最後になるのでは、と予想する声も聞かれる。