【意外過ぎて驚きシリーズ】『セーラームーン』の“ミートボール・ヘッド”って誰のこと?

 1990年代、日本の土曜夜7時のTVを席巻したアクションヒロインアニメ『美少女戦士セーラームーン』シリーズ。女性が生脚を出すのを禁じられている国以外では必ず放送されていると言われ、国際的にも有名なこの作品。『セーラームーン』のキャラクターは“月野うさぎ”、“水野亜美”など、本編での役柄やキャラクターの特性とリンクしていたネーミングの秀逸さも魅力のひとつだが、果たして海外ではどんな名前になっているのだろう?

イタリアではモレアやマルタ、一体どのキャラのこと??



 まずチェックしてみたのはイタリア。『セーラームーン』はヨーロッパ各国で根強い人気を誇っているのだが、中でもイタリアでは2010年に再び商業展開が始まり“セーラームーンの帰還”というニュースも出たほど。で、名前はというと主人公の月野うさぎは……Bunny(バニー)と呼ばれていた。バニー=うさちゃんといったニュアンスだが、日本人的にはバニーガールやらバックス・バニーやらのイメージが強くて微妙かも。他のキャラクターだとセーラーマーキュリーこと水野亜美=Amy(読みはアーミィ)、セーラーマーズこと火野レイ=Rea(リア)など、意味より発音を元の名前に近づけようとしている模様。もっともセーラージュピターこと木野まこと=Morea(モレア)、セーラーヴィーナスこと愛野美奈子=Marta(マルタ)と、このへんはイニシャルしか合っていなかったりする。ちなみに、うさぎの未来の娘であるちびうさはそのままChibiusa。イタリア語でchiはキと発音するので“キビウサ”と聞こえるのだが。





 一方、イタリアのご近所のドイツでもやっぱりうさぎはバニー呼び。だが他のキャラクターは日本名のままだった。ドイツは日本の名前をそのまま使う傾向があるようだ。当然ちびうさもChibiusa。ただ、ドイツ語だと母音前のsの音は濁るため、発音は“チビウザ”。彼女が主役の回だとウザウザと呼ばれまくるので「確かにウザいけど(汗)」と微妙な気分になること請け合いである。





エイミー・アンダーソンってどのキャラのこと!?



 アジアで『セーラームーン』に人気があったといえば中国。放送当時は女の子の憧れの的だったとか。キャラクターの名前に関しては同じ漢字圏ということで、多少の字の変化はあるものの基本的に同じ。代わりに戦士になってからの名前がセーラームーン=月光仙子、セーラージュピター=木星仙士という具合にアレンジされている。セーラー服は中国語だと水手服なので月光水手という呼び方もあるようだ。余談だが、タキシード仮面は夜礼服仮面である。





 そしてラストはアメリカ。うさぎはSerena(セリーナ)という、なんともオシャレな名前に! 由来はギリシャ神話の月の女神・セレナからだろう。“月のプリンセス”という、うさぎの設定にぴったりだ。なお、名字はTsukinoと日本名のまま。名字が日本名そのままというのは他のセーラー戦士も同様なのだが、例外がセーラーマーキュリーの水野亜美。なぜか彼女はAmy Anderson(エイミー・アンダーソン)とフルにアメリカンな名前に……。ちなみにうさぎの愛称「お団子頭」は、英語版ではMeatball Head(ミートボール・ヘッド=肉団子頭)に。日本で言うところの「お団子頭」は団子状に丸くまとめた髪型(フランス語で「シニヨン」、英語では「バン」)を指すが、翻訳者が「お団子」を、「団子……肉団子……ミートボール!」という意味で捉えてしまったようである(ちなみアメリカの子供たちの好物はスパゲティ・ウィズ・ミートボール)。なんだかうさぎの頭がケチャップまみれのようだが、果たしてアメリカの視聴者は彼女のニックネームをどう解釈していたのだろうか。アメリカのセーラームーンファンに会ったら、ぜひ聞いてみたいものだ。





文●サンプラント