東日本大震災から1年経った今でも、震災直後の停電騒動は、地震の恐怖と共に記憶に刻み込まれているのではないでしょうか。震災以降、多くの人が「節電」の意識を持って生活するようになったようにも感じられます。また、それと共に原子力発電の是非や、原子力に代わる発電方法に注目が集まっています。

 そもそも原子力発電のメリットのひとつに、二酸化炭素を排出しないことがありました。地球温暖化が深刻となり、2010年度の「エネルギー基本計画」では、発電量の62%(2009年)を占める火力発電に代わって、2030年には原子力による発電が53%となるはずでした。しかし、3・11以降、原子力発電所建設計画は見直され、今ある発電所もまもなく全て停止となります。こうした状況で注目されるのが「水素」だとJXホールディングス株式会社相談役の渡文明氏は言います。

 彼が挙げる新たなエネルギー発電のキーワードは「低炭素社会」・「分散型供給システム」の2つ。日本では電気がエネルギーの主役を担う形で「低炭素社会」を実現しようとしていますが、その電気を二酸化炭素を発生させずにいかにクリーンにつくるかが、課題となります。「分散型供給システム」は、東日本大震災で「大規模集中型供給システム」の脆弱性が明らかになり、その重要性が認識されました。さらに震災時以外にも、身近で電気を生み出す「分散型供給システム」なら、発電によって生じた熱を給湯などに利用できるので、エネルギー効率も高まります。

 水素による発電は二酸化炭素を発生させず、クリーンにエネルギーを生み出します。水素を燃料とした燃料電池なら、各家庭で電気を作れるので、「分散型供給システム」というポイントもクリアです。さらに水素はいくつもの方法で抽出することが可能で、ほぼ無限に存在するため、安定した供給も可能とのこと。

 もちろん、さまざまな規制の見直しや科学技術の進歩、コストといった課題もありますが、「水素ハイウェイプロジェクト」や「福岡水素タウン」、「水素パイプライン」など水素を使用したエネルギー社会への実現は、確実に近づいているようです。



『第3のエネルギー「水素」が社会を変える?』
 著者:
 出版社:PHP研究所
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