窓の外にはテラス、その先にはスカイツリーが

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5つの事業所を2011年5月に統合した、東京・江東区の日本ヒューレット・パッカード本社。1フロア5500平米、8階建てのビルに、およそ5000人が働いている。

このビルの最上階に、1フロアすべてを使った巨大な社員食堂がある。運営時間は、午前8時半から午後9時まで。時間帯によって提供する料理が変わり、1日に約1700人が利用している。非常に開放感のある、都会的なスペースを体験してきた。

メニューは50種類。夏はビアガーデンにも

訪れたランチタイムには、13種類の主菜メニューが準備されていた。パスタにカレー、ラーメンが2種類ずつ、その他エスニック料理のほか、ダイエットしたい人向けの低カロリー定食もある。

ビュッフェコーナーは、100グラム126円の量り売り。サラダや肉、魚など10種類以上の料理から自由に選ぶことができる。オプションの小鉢なども合わせると、50種類もの食材があり、何を食べようか迷ってしまった。

結局、週替わりイベントメニューの「十勝豚丼」を中心にメニューを組み立てることにした。ビュッフェから照り焼きチキンと、スペイン風ポテトサラダ、それにひじきと大豆の卯の花あえなど6種類を取った。ひさしぶりに食べたひじきは、やさしい家庭の味つけでホッとする。

豚丼は柔らかい肉に、甘辛い味付けがされている。ごぼうと明太子を和えた小鉢もいただいたが、お酒のつまみのようでクセになる味だった。

正午を過ぎると、およそ900の席はどんどん埋まっていく。東京スカイツリーを間近に望み、新宿の都庁も見える。屋外にはテラス席もあり、夏はビアガーデンのように使われるという。周囲に飲食店が多くないこともあり、「仕事も食事も1日中楽しめること」をコンセプトにしているそうだ。本当にうらやましい。

食事を終えてセルフレジにトレイをセットすると、電子マネーで自動的に精算が済む。すべての食器にICチップが組み込まれているのだとか。

全フロア無線LAN完備で「社内ノマド」気分に

社員食堂を運営するエームサービスの支配人によると、社員食堂では「満足度調査」をして利用者の嗜好をメニューに反映しているそうだ。

「調査の結果、トレンドに敏感な方が多いということが分かりました。これを受けて、旬の食材を使ったメニューに加えて、有名シェフがプロデュースしたメニューをイベント的に取り入れるなど、常に新鮮な感覚を大切にしています」

意識しているのは、「普通のレストランと同じようにお客さんに楽しんでもらいたい」ということ。パーテーションの開閉でスペースを区切り、社内での交流会や、社外との懇親会に使えるようになっている。中には、掘りごたつの部屋もあった。

また、食堂のすべてのテーブルには、パソコンなどをつなげられる電源が備えられており、ランチタイム以外の時間帯には、仕事をしている人もいるという。全フロアで無線LANも完備されているので、ちょっとした「社内ノマド」気分だ。

社内でも、決まったデスクを持たない「フリーアドレス」の人が大半。週2回・月8回まで「在宅勤務」や他オフィスでの勤務を可能にする「フレックスワークプレイス制度(FWP)」を採用し、日々の「本社在館率」は7割程度だそうだ。取材時にも食堂で仕事をする人が見られ、とても自由度の高いワークスタイルが浸透しているという印象を持った。(池田園子)