こんなふうに見えていませんか?

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乱視という言葉は多くの人が知っていると思うが、その症状は? 聞かれるとなんとなく漠然としていて、しっかり説明できる人は意外に少ないのでは。

日本人の約6割といわれる近視の人の多くは乱視も併せもつといわれる。自分はどうだろう? と思う人はぜひ次のチェックリストを確認してほしい。

・近くも遠くも見えにくい
・目が疲れやすい(目の奥が痛むことがある)
・夜間(暗いところで)見えにくい □ 頭痛や肩こりがある
・モノが二重に見える(ブレて見える/影が見える)
・車を運転中、信号や標識の文字がぼやけて判別しにくい

これらはすべて乱視が原因とはいいきれないものの、乱視によることが多い症状だ。ちなみに乱視とは、角膜と水晶体のゆがみによっておこるもの。光の屈折が均一でなくなり、焦点が前後に2つある状態をいう。

先日、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニーは、乱視矯正の経験が豊富な、しおや眼科の塩谷浩院長を招いてセミナーを開催。見逃されがちな乱視の症状や乱視矯正の現状についてセミナーをおこなった。

塩谷先生によれば、乱視があると上記のような症状に加え、よく見ようと目を細めることが多くなったり、コンタクトレンズやメガネが見えにくくなったり、目の乾燥感やまぶしさを感じるなど、実にさまざまな症状が現れるという。

ただ、これらは単なる疲れ目やドライアイと思われがち。実際、塩谷先生の患者さんのなかにも、疲れやすくなったと思ったら実は弱い乱視が原因だったり、いろいろなレンズを試したがどれも合わず、目の疲れやまぶしさを感じていた人が乱視矯正で症状が解消された例もあるそう。なかには、何年ものあいだ、頭痛や肩こり、吐き気に悩まされ、脳外科で鎮痛剤と精神安定剤を処方されたものの症状が緩和しなかった人が、乱視用ソフトコンタクトレンズを使用するようになったら、ピタリと症状がおさまった例もあるというからビックリだ。

乱視の症状としては、モノが見えにくい、二重に見えるなど、わかりやすいのが見え方に影響するもの。一方、頭痛や肩こり、目の疲れ、目の乾燥や痛みなどは、ほかに原因があると思われ見逃されやすい。

一般的に乱視があっても、視力がよく、とくに見え方に不満がなければ通常のソフトコンタクトレンズが処方されているのが現実。塩谷先生いわく、
「見え方に不満や不自由がなくても乱視が隠れている場合もあるので、頭痛・肩こり・目の疲れなどの症状がある場合には乱視を疑ってみる必要があります。気になることがあれば眼科医に相談してみてください」
乱視の場合、近視の度数を強くすることで対応することも少なくないが、過度の矯正が頭痛などほかの症状を招く場合もある。

現在のところ、乱視の矯正方法としては、メガネ、ハードコンタクトレンズ、乱視用ソフトコンタクトレンズがあるが、日本では乱視用ソフトコンタクトレンズの処方率は欧米に比べてかなり低い。

その理由には、とくに1日使い捨てタイプに、眼科医が信頼できるレンズの種類が多くなかったり、対応できる乱視の程度や種類が足りないことがあるそうだが、セミナーを開催したジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニーでも4月11日(水)に1日使い捨て乱視用ソフトコンタクトレンズ「ワンデー アキュビュー モイスト」乱視用を発売する。選択の幅が広がるにつれ、今後は眼科医での処方も増えていくのだろう。

ちなみに若いうちは弱い乱視には無意識に対応できるが、30代以降になると調節力が落ち、乱視の影響が出やすくなるというから要注意。最近疲れがなかなか取れないという人は、一度乱視が原因であることを疑ってみてもいいのでは。
(古屋江美子)