“親友作り禁止”の校則に批判、辛い別れを避けるための配慮で採用?

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学校は、社会的に必要な知識や常識を学ぶ場。そこで知り合った数々の友人たちは、自分の心の中にたくさんの思い出を残してくれた、大切な財産となっているはずだ。しかし、英国の一部の小学校に通う子どもたちには、そうした思い出作りが今後できない可能性があるという。なぜなら今、生徒に「親友を作ってはいけない」とする校則を定めた小学校が現れているそうで、教育専門家や市民の間からは疑問の声も上がっている。

英紙サンやデイリー・メールなどによると、この校則の存在は、英国の教育心理学者ゲイナー・スブットーニさんが明らかにしたもの。彼女が確認したところ、現在ロンドン南西部やサリー州など、いくつかの小学校でこうした校則が採用されているという。その意図は、どの子どもも仲間外れにならないよう、できる限り「大人数のグループで遊んで欲しい」という教師たちの思いから、特定の友人だけと強く結び付かないようにするのが1つ。もう1つは、今後親友が別の道を進むようになる際、「別れの辛さを味わって欲しくない」と教師たちが考えているからと、スブットーニさんは話している。

この校則については、全英学校長協会という組織も「一部の学校がこの校則を採用しているのを確認した」とコメント。学校を管理している校長たちが集まるこの協会でも、こうした校則には疑問を感じているそうだ。「私たちは人生を通じて友人を作ったり、失ったりするもの」と話す同協会のラッセル・ホビー書記長は、この校則がほかの学校に「広がっていくとは思わない」とも語り、一部小学校のみに留まるとの見方を示している。

疑問を呈するのは、スブットーニさんも同じ。実際に先生たちとも意見交換を行ったそうで、彼女は「子どもたちが親友を欲しがるのは自然なこと」とした上で、将来いくらでも起こり得る人との別れに「対応する術を学ぶためにも」と、“親友作り禁止”校則を批判する。また、ホビー書記長も「ばかげたポリシーが、彼らの小学校での思い出を奪っている」と話し、同協会スポークスマンも、この校則に縛られる子どもたちに「深刻な悪影響を与えるかもしれない」と懸念しているそうだ。

メディアで校則の存在を知った多くの市民も、同じような疑問を抱いている様子。サン紙やデイリー・メール紙が紹介した記事のコメント欄には、「全くおかしな話」「(校則が定められた学校に通う)子どもがいる近所の人から話を聞いて、ショックを受けた」など、校則を批判する書き込みが多数寄せられており、大きな反響を呼んでいるようだ。

どの学校でも、常に子どもたちにとって良い教育を行おうと努力する気持ちは同じだろうが、成長していく子どもたちの時間は決して取り戻せないのだから、何においてもしっかりした教えが求められるところ。皆さんはこの“親友作り禁止”の校則、どう思う?