園山さんがジェラシーを感じた絵本


 「今の仕事を始めてから初めて出合って、鳥肌が立った本があるんです」


 食プロデューサーの園山真希絵さんが、そう、興奮気味に話す本は、『百味菜々』。西武流通グループ(現・セゾングループ)のクリエイティブディレクターとしても知られ、昭和期の日本のグラフィックデザイン界を牽引した田中一光氏がディレクションを手掛け、三宅一生氏や高橋睦郎氏らが寄稿した、伝説の料理本です。


 「普段は料理にまつわる本はあまり読まず、全く違うジャンルの本を読むのが好きなんですが、この本は特別。初めて開いた時、こんな本が日本に、世界に、あるんだって、いまだかつてない衝撃を受けました。料理本というよりも写真集に近く、どんどんページを捲っていくうちに、神々しさというのか、食の域を超えた日本の文化や伝統が、写真の力だけで伝わってきました。ところどころに入っている解説も含め、この本自体が素晴らしい食の学校になっているんです」(園山さん)


 園山さんが魅了された数々の写真は、かつて東京・青山にあった日本料理店「百味存」の横山夫紀子さんの料理を、写真家の秋元茂さんが撮り下ろしたもの。青山の「百味存」はすでに閉店していましたが、横山さんが京都で開いた新生「百味存」の料理に、園山さんは会いに行ったそうです。


 「一見さんお断りのカウンターだけの店でした。素朴な日本の素材を使った料理でしたが、この本から伝わってきたものが、同じように料理からも伝わってきました。改めて、日本人でよかったなと感じられる、お店とお料理だったんです。五感すべてで楽しめるというんでしょうか。これをひと言でなんと言ったらいいのかわからないのですが、命を言祝ぐ感覚になってましたね」



 ちなみに園山さん、料理も人も、この本のような竹を割ったような潔さが好きなのだそうです。


 それからもう一冊、ここ最近で一番の出合いというのが『サラダでげんき』。角野栄子さん作・長新太さん絵という最強コンビによる絵本です。園山さんの誕生日に、スタッフの方がプレゼントしてくれたものだそう。


 「りっちゃんという女の子が、病気のお母さんのためにサラダを作るというお話です。面白いのが、いろんな動物達がこれを入れるとサラダが美味しくなるよって、アドバイスをしてくれること。次はどんな動物が何を勧めてくれるんだろう?って、わくわくしてくるんです。私はちっちゃい頃、自分の母親が病気になった時に、何かを作って元気になってもらおうと考えたことなんてなかったんですよ。でもこの本を子供が読んだら、家族や大事な人が病気になったり風邪をひいたりした時に、何か食べ物を作って元気にさせようっていう気持ちに、きっとなるのかもしれないなぁと思いました。まだ私は結婚してもいないですが、もし子供ができたら一番最初に読ませたい本になりました。大人の自分 でもすごく感動と感激がありましたから。やっぱり食べ物って、大事なんだって。旦那様になる人にも強制的に読ませますね(笑)」


 子供向けでありながら、大人も初心に戻って改めて考えさせられる絵本。子供たちだけでなく、大人たちも読むべき本だと園山さんは言います。


 「実は近々自分でも絵本を出すことになり、それが全部でき上がった時にこの本に出合いました。これはやられたなぁというのが正直なところ。ちょっとジェラシーですね(笑)食を通して人が元気になる。人が良くなる(食は感じで書くと「人」を「良」くするって書くでしょう?)。それを伝えていくことが私のテーマなので、絵本を通じても"人を良くする食"というものを発信していきたいなって思っています。この『サラダでげんき』も、まさにそういうことを伝えてくれるんです」


 と、ちょっとジェラっている園山さんの絵本の内容は、まだ内緒(......と言われると、相当に楽しみになりますが!)。どうやら子供だけでなく、大人にもハッと気付きのあるものになっているようです!







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