「宝くじの受託業務から販売、関連業務をすべて取り仕切るのがみずほ銀行で、実際に販売するのは、みずほ銀行から再委託を受けた約1200の販売業者です。全国に約1万7000カ所の売り場がありますが、最大の再委託業者が日本ハーデスグループで、約2000カ所の売り場で約5000億円を売り上げていると言われています。売り場の割合は12%しかないのに、売り上げは5割に達するという化け物会社です」(金融ジャーナリスト)

 売上高5000億円といえば、外食産業トップのマクドナルドと双璧。しかも売り場の数2000カ所は、マクドナルド店舗数の3分の2程度だ。
 そんなグループ会社が、どういうわけか存在さえも秘密にしたがるのは、一体なぜなのか。
 「同社は旧第一勧業銀行時代に、同銀行の全面支援を受けて宝くじ事業を行っていた『日宝販』という会社の末裔です。この会社は、旧一勧、旧富士銀、旧興銀の3行合併が発表された直後の1999年12月1日に一度清算され、銀行との資本関係を解消し、社名を『ニッポーハンです』をもじって日本ハーデスとして設立された。日本ハーデスグループは、宝くじ販売の関連業務を請け負う『機能別子会社』と、全国で宝くじを販売する『地域販社』の2つに大きく分けられ、代表取締役は森信博氏、宮本裕氏(両氏共に、みずほコーポレート銀行元副頭取)、小野正人氏(みずほ銀行元副社長)の3人。いずれもみずほファイナンシャルグループ(FG)の最高幹部を歴任し、退任直後に日本ハーデスの代表取締役に就任しています。しかし、こうした人的交流はあるものの、資本関係はFGとの間に存在しません。ちなみに正確にはハーデス社は、FGというより『旧一勧』の天下り会社です。もっと正確に言えば、旧一勧というより旧第一銀行と旧日本勧業銀行が合併する前の旧勧銀出身者の“牙城”なのです」(全国紙経済部記者)

 驚くべきことに、この機能別子会社も地域販社も、すべて旧一勧出身者が代表取締役に就任しているという。この件について、みずほ銀行経営企画部に尋ねると、「弊行一般事業法人のお客様のひとつです。また日本ハーデス様に当FGの幹部が雇用されているという指摘につきましては、『他社の人事採用活動についてはわかりかねます』としかお答えできません」との返答だった。
 宝くじ販売事業の過半が、旧一勧OBが運営する企業グループに再委託されているという事実に対し、みずほ銀行は、まるで無関係であるようなコメントを発するのだ。一般社会から隔離され続けているのも納得である。
 自身のことは棚に上げながらも総務省は、宝くじ販売の硬直化と一銀行独占による高コストにつながる弊害を認識しているようで、昨年末、宝くじのジリ貧挽回策を検討してきた同省の「宝くじ活性化検討会」(座長・大森彌東大名誉教授)は、ネット販売などとともに「受託銀行が多数参入することによる競争性確保」のための策を提言している。
 みずほ銀行が宝くじの受託を独占しているために、“親密会社”日本ハーデスが既得権化していることを強く問題視しているわけだ。

 しかし、前出の金融ジャーナリストはこう喝破する。
 「旧一勧が積み重ねた販売ノウハウは、他の金融機関が今更マネしようとしても無理な話です。今後もみずほ銀行の受託→日本ハーデスへの丸投げという構図が瓦解することはないでしょう。同社の抱える売り場は一等地が多く、『西銀座チャンスセンター』もそのひとつです」

 1等当選金が跳ね上がったおかげか、売り上げは上々だという今回のグリーンジャンボ宝くじ。しかし、配当に回される割合が変わったわけではない。震災復興支援という名の下にあっても、いつものように巨額の金がムダにされていることだろう。
 果たして、宝くじという金城湯池にどっぷり浸かるこれらの存在は許されるものなのだろうか。
 5億の夢が散った後に、ぜひ考えてみて欲しい。