超美人ではないけれど、魅力ある女性っている。雰囲気や人間力に深い魅力があり、老若男女関係なく人を惹きつける。ミシェル・ウィリアムズはまさにそんな女優だと思う。インディペンデント映画を中心に活躍してどんどん頭角を現し、ついにマリリン・モンローを演じるまでになった彼女。アカデミー賞は、正直、ミシェルに受賞してもらいたかった。この映画で底知れぬ才能を感じたし、今後子育てに専念する為に女優業を休業すると発表していたし、受賞してゆっくり休んでまた戻ってきてほしいと心底思っていたから。本当に惜しいと思ったが、それぐらい彼女のマリリン役には悩殺された。

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名家出身のコリン・クラーク(エディ・レッドメイン)は、名優ローレンス・オリヴィエ(ケネス・ブラナー)の最新作で第3助監督の仕事を得る。共演はマリリン・モンロー(ミシェル・ウィリアムズ)。彼女は記者やファンの前では自信に溢れた様子を見せるが、現場では常に遅刻し、演技コーチを伴ってもNG連発で、スタッフや共演者全員に迷惑をかける始末。コリンは酒と薬に溺れていくマリリンを見張るよう指示されるが、だんだんと彼女に惹かれていく。彼女も誠意を持って接してくれるコリンを頼るようになり、やがて2人は親密な1週間を過ごすことになる。

この映画は、スターと過ごした日々の下世話な暴露話ではない。後にドキュメンタリー映画監督となったコリン・クラークの洞察力と、マリリンに対する心からの敬意と愛情に溢れた品の良い良作だ。ミシェル・ウィリアムズの力量に頼りすぎていず、映画として面白くて興味深い。メリル・ストリープの圧巻の演技力に頼りきっていた「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」とは、このあたりが違うところ。

ミシェル・ウィリアムズは気負いがなく自然。世界一有名な女優を演じるのはさぞ重荷だったと思うが、期待をはるかに超えていた。美しく自由奔放で魅力的だが、孤独で精神的に脆く依存症だったマリリン。その素顔と虚構の相反した2つをミシェルは見事に演じていた。男なら老いも若きも誰だって夢中になるだろう。最も印象的なシーンの一つに入浴の場面がある。この先、何があるとも知らず、その瞬間を楽しむように泡風呂で鼻歌を歌うマリリン/ミシェル。彼女の例え様のない可愛いさ、無邪気さ、セクシーさ、儚さにうっとりした。できるものならば真似してみたい...。

コリンを演じるエディ・レッドメインのキャスティングも良く、憧れと崇拝の気持ちが恋愛に変わり、戸惑いながらも聡明な唯一の理解者としてマリリンに献身する姿を上手く演じていた。彼とマリリンがひと時の自由を楽しむシーンは官能的で甘美で、いつまでも心に残る。

この数年後に実際に起きた悲劇を思うと悲しくなるが、脆い名声の一瞬を、自分らしくあろうと必死だったマリリン/ミシェルの姿がしばらく脳裏に残った。

以前、ある映画祭でミシェルを至近距離で2年連続、見かけたことがある。パートナーだった故ヒース・レジャーと一緒で、2人ともカジュアルな装いで控えめだったが、光り輝いていた。ヒースの死など色々あったから、しっかり休養をとってぜひまた復活してほしい。

−アメリカの著名な映画情報・批評まとめサイト「ロッテン・トマト」では:83点

3月24日(土)全国ロードショー