イチロー・スズキは何を残してきたのか?
オルダス・ハクスリーの著書”素晴らしい新世界”から引用すれば”一貫性を保つということは、自然に反し生命に反している。一貫性に完全に拘った人々は、死んでいる”
イチロー・スズキに、これは伝えないで欲しい。
昨シーズンまでイチローは、10年連続で少なくとも3割、200本安打、そして25盗塁を続けてきた。10年連続200本安打はメジャーリーグ記録、10年連続3割以上は現役選手でアルバート・プホールズと並んで一番長い。彼の10年間の平均成績は打率.331、224安打、38盗塁である。
2001年-10年の毎年の成績を見てみよう。
これらは、全ての良い事は必ず終りを迎え、イチローが続けていた一貫性が、2011年に急に終わりを告げたと言っている。彼は初めて3割に届かなかっただけでなく.272を打ったに過ぎなかった。彼は80得点し、それは2010年の74を上回り、そして盗塁は40。彼には未だ素晴らしい価値があるが、今までの様に常に打率を残せる打者では無くなったと言うことだ。君はイチローがこれらの確実に思える打率で、彼らを補うだろうということだけの理由で、マーク・レイノルズやカルロス・ペーニャをドラフトで指名しただろうか?それは少し戦略的過ぎはしないだろうか?
私たちはイチローの残念だった2011年シーズンの影響について考える前に、チーム状況を少し整理しよう。シアトル・マリナーズのエリック・ウエッジ監督は、イチローがキャリアの7,456打席のうち68打席以外の全てて務めたリードオフに変えて、今シーズンは3番にすると明言した。ショーン・フィギンスが新しいリードオフと言われており、ダスティン・アクリーが2番になるだろう。この事でイチローの得点は僅かに少なくなるが、打点の機会が僅かに増えることが、この新しいラインアップ計画の軸になるのが確実だ。普通の感覚では、打順を1番から3番に動かすことは盗塁の機会を少なくすると考えるが、必ずしもそれは真実ではない。同僚のトリスタン・H・コッククロフトは昨年、実際に選手の打順が盗塁を試みる数に影響するかを調べ、結果はそうではなかった。なのでイチローの盗塁が今シーズン減っても、それは彼の打順によるものが理由では無いだろう。
他の疑問点は、より得点力が求められる打順に動くことが、打席でのイチローの意識を変えるのかだ。結局のところ君たちの何人かは、イチローが数年前に言ったシーズンで40本塁打を打つなら”打率は.220になる”という言葉を思い出すかも知れない。それはそれで興味がそそられるが、イチローは1月にMLB.comに対して3番で打つことは彼のスタイルを変えることにはならないと話している。なので170ポンドのスピードスターが、ホームラン王争いを始めるだろうという期待はできない。
それらの全ては、マリナーズがシーズンを通してこのラインアップに固執するのかは別の話だと言っている。フィギンスはリードオフでキャリア打率.289、出塁率.367だが、昨年のマリナーズでは81試合で僅か打率.188、出塁率.241だった。もしフィギンスが素早く以前の彼に戻らなければ、新しいラインアップの実験は長くは続かないかも知れない。
ラインアップの疑問よりも気になるのは、イチローはどうやって昨年のキャリアワーストの状態から盛り返すのかだ。10回のオールスター出場選手は今38才、なので彼の時間がそのまま終わるという見方も間違いではない。昨シーズンが終わりの始まりであったという見方には、いくつかの信憑性が確かにある。しかしシアトルのライト選手が、私たちが数シーズン前に見たのと未だ同じ打者であるという証拠もたくさんある。一つ目に、2011年のイチローの.295と言うインプレー打率(BABIP)は、彼のキャリアBABIPの.351から著しく下がっている。投手の一般的なBABIPの基準が.290-.300の範囲に下がっていて、そのことを打者の基準に当てはめてみれば、イチローのキャリア平均から56ポイントも下がったBABIPが示すのは、昨年の彼はとても不運だったと言うことだ。彼はまたライナー率が19.1%で、それは2009年の18.2%と2010年の17.3%を上回っている。全てのタイプの打球の中で、ライナーは最もヒットになる確立が高い。なので過去2年よりも昨年の彼がよりライナーを打っているという事実は、空想の上で彼は.333を打ったことになり、それは上位20に入るとESPNの分析家は言っている。これは彼が不運の犠牲者だというもう一つの証なる。
2011年、イチローはまた最も高いゴロ率(59.9%)と2004年以来最も低いフライボール率(21.1%)を記録した。これはパワーヒッターには問題になるが、イチローの様なシングルヒッターにはそうではない。ゴロはフライボールよりもヒットになる確立が高く、なのでもう一度同じ事を言うが、これは昨年のキャリア最低打率には関係ない。議論になる一つは、おそらく38才という年令で、足が遅くなったことがゴロがヒットになる数に影響したのかも知れない。しかし事実として、彼が昨年40回盗塁を試みて(アウトは僅か7回)いるということが、それを否定する。最後にイチローは2011年に90.4%というずば抜けたコンタクト率を残しており、それは実際にキャリアの89.3より良く、そこにも衰退の兆候は無い。
もし昨年のイチローが単に不運だったという考えに難癖をつける成績が一つあるとすれば、年が進むに連れてストライクゾーンの外側の球をより多く振っていることだろう。2006年から、イチローのストライクゾーンが広がり続けていることが見ることができる。
2006: swung at 24.8 percent of pitches outside strike zone
2007: 27.1 percent
2008: 28.7 percent
2009: 32.1 percent
2010: 35.6 percent
2011: 36.1 percent
(Data courtesy of Fangraphs.com)
これはイチローの選球眼が悪くなっているという明確な兆候だ。もう一つ注目すべきは、2011年の彼がストライクゾーンの外の球を振り、当てたのがキャリアハイの85.5%であることだ。球に当てるのは良いことだ。そしてイチローはキャリアを通して、それがストライクゾーンかそうでないかに関係なく、全てのタイプの投球を打ち崩しヒットを打ってきた。しかし一般的に、打者がストライクゾーンの外の球を確実に打つのは容易ではない。なのでこれが昨年の貧しい打率に僅かに影響した可能性がある。
全てから解るのは、2011年のイチローが不運だったのか、衰退の兆候を示し始めたのかに関する真実は、おそらくこれらの中間に位置することだ。彼の打率は、今シーズン.300近くに戻すだろうとこれらの証拠は示している。そして彼は苦しんだにもかかわらず、盗塁数は昨年も一貫してした。彼に対する期待の多くは、そこから来ている。しかし彼はまた40才近くで、永遠に特別な打者ではいられない。30代後半に差し掛かった打者は、衰退のサインを示したとしても、そうでなくても、ある程度のリスクを伴う。イチローも例外ではない。従って2012年の盛り返しに賭けるのもOKだが、全財産をつぎ込まないほうが良いだろう。
参考記事:30 Questions: Seattle Mariners By Mike Sheets | Special to ESPN.com
http://sports.espn.go.com/fantasy/baseball/flb/story?page=mlbdk2k12_30qmariners
イチロー・スズキに、これは伝えないで欲しい。
昨シーズンまでイチローは、10年連続で少なくとも3割、200本安打、そして25盗塁を続けてきた。10年連続200本安打はメジャーリーグ記録、10年連続3割以上は現役選手でアルバート・プホールズと並んで一番長い。彼の10年間の平均成績は打率.331、224安打、38盗塁である。
これらは、全ての良い事は必ず終りを迎え、イチローが続けていた一貫性が、2011年に急に終わりを告げたと言っている。彼は初めて3割に届かなかっただけでなく.272を打ったに過ぎなかった。彼は80得点し、それは2010年の74を上回り、そして盗塁は40。彼には未だ素晴らしい価値があるが、今までの様に常に打率を残せる打者では無くなったと言うことだ。君はイチローがこれらの確実に思える打率で、彼らを補うだろうということだけの理由で、マーク・レイノルズやカルロス・ペーニャをドラフトで指名しただろうか?それは少し戦略的過ぎはしないだろうか?
私たちはイチローの残念だった2011年シーズンの影響について考える前に、チーム状況を少し整理しよう。シアトル・マリナーズのエリック・ウエッジ監督は、イチローがキャリアの7,456打席のうち68打席以外の全てて務めたリードオフに変えて、今シーズンは3番にすると明言した。ショーン・フィギンスが新しいリードオフと言われており、ダスティン・アクリーが2番になるだろう。この事でイチローの得点は僅かに少なくなるが、打点の機会が僅かに増えることが、この新しいラインアップ計画の軸になるのが確実だ。普通の感覚では、打順を1番から3番に動かすことは盗塁の機会を少なくすると考えるが、必ずしもそれは真実ではない。同僚のトリスタン・H・コッククロフトは昨年、実際に選手の打順が盗塁を試みる数に影響するかを調べ、結果はそうではなかった。なのでイチローの盗塁が今シーズン減っても、それは彼の打順によるものが理由では無いだろう。
他の疑問点は、より得点力が求められる打順に動くことが、打席でのイチローの意識を変えるのかだ。結局のところ君たちの何人かは、イチローが数年前に言ったシーズンで40本塁打を打つなら”打率は.220になる”という言葉を思い出すかも知れない。それはそれで興味がそそられるが、イチローは1月にMLB.comに対して3番で打つことは彼のスタイルを変えることにはならないと話している。なので170ポンドのスピードスターが、ホームラン王争いを始めるだろうという期待はできない。
それらの全ては、マリナーズがシーズンを通してこのラインアップに固執するのかは別の話だと言っている。フィギンスはリードオフでキャリア打率.289、出塁率.367だが、昨年のマリナーズでは81試合で僅か打率.188、出塁率.241だった。もしフィギンスが素早く以前の彼に戻らなければ、新しいラインアップの実験は長くは続かないかも知れない。
ラインアップの疑問よりも気になるのは、イチローはどうやって昨年のキャリアワーストの状態から盛り返すのかだ。10回のオールスター出場選手は今38才、なので彼の時間がそのまま終わるという見方も間違いではない。昨シーズンが終わりの始まりであったという見方には、いくつかの信憑性が確かにある。しかしシアトルのライト選手が、私たちが数シーズン前に見たのと未だ同じ打者であるという証拠もたくさんある。一つ目に、2011年のイチローの.295と言うインプレー打率(BABIP)は、彼のキャリアBABIPの.351から著しく下がっている。投手の一般的なBABIPの基準が.290-.300の範囲に下がっていて、そのことを打者の基準に当てはめてみれば、イチローのキャリア平均から56ポイントも下がったBABIPが示すのは、昨年の彼はとても不運だったと言うことだ。彼はまたライナー率が19.1%で、それは2009年の18.2%と2010年の17.3%を上回っている。全てのタイプの打球の中で、ライナーは最もヒットになる確立が高い。なので過去2年よりも昨年の彼がよりライナーを打っているという事実は、空想の上で彼は.333を打ったことになり、それは上位20に入るとESPNの分析家は言っている。これは彼が不運の犠牲者だというもう一つの証なる。
2011年、イチローはまた最も高いゴロ率(59.9%)と2004年以来最も低いフライボール率(21.1%)を記録した。これはパワーヒッターには問題になるが、イチローの様なシングルヒッターにはそうではない。ゴロはフライボールよりもヒットになる確立が高く、なのでもう一度同じ事を言うが、これは昨年のキャリア最低打率には関係ない。議論になる一つは、おそらく38才という年令で、足が遅くなったことがゴロがヒットになる数に影響したのかも知れない。しかし事実として、彼が昨年40回盗塁を試みて(アウトは僅か7回)いるということが、それを否定する。最後にイチローは2011年に90.4%というずば抜けたコンタクト率を残しており、それは実際にキャリアの89.3より良く、そこにも衰退の兆候は無い。
もし昨年のイチローが単に不運だったという考えに難癖をつける成績が一つあるとすれば、年が進むに連れてストライクゾーンの外側の球をより多く振っていることだろう。2006年から、イチローのストライクゾーンが広がり続けていることが見ることができる。
2006: swung at 24.8 percent of pitches outside strike zone
2007: 27.1 percent
2008: 28.7 percent
2009: 32.1 percent
2010: 35.6 percent
2011: 36.1 percent
(Data courtesy of Fangraphs.com)
これはイチローの選球眼が悪くなっているという明確な兆候だ。もう一つ注目すべきは、2011年の彼がストライクゾーンの外の球を振り、当てたのがキャリアハイの85.5%であることだ。球に当てるのは良いことだ。そしてイチローはキャリアを通して、それがストライクゾーンかそうでないかに関係なく、全てのタイプの投球を打ち崩しヒットを打ってきた。しかし一般的に、打者がストライクゾーンの外の球を確実に打つのは容易ではない。なのでこれが昨年の貧しい打率に僅かに影響した可能性がある。
全てから解るのは、2011年のイチローが不運だったのか、衰退の兆候を示し始めたのかに関する真実は、おそらくこれらの中間に位置することだ。彼の打率は、今シーズン.300近くに戻すだろうとこれらの証拠は示している。そして彼は苦しんだにもかかわらず、盗塁数は昨年も一貫してした。彼に対する期待の多くは、そこから来ている。しかし彼はまた40才近くで、永遠に特別な打者ではいられない。30代後半に差し掛かった打者は、衰退のサインを示したとしても、そうでなくても、ある程度のリスクを伴う。イチローも例外ではない。従って2012年の盛り返しに賭けるのもOKだが、全財産をつぎ込まないほうが良いだろう。
参考記事:30 Questions: Seattle Mariners By Mike Sheets | Special to ESPN.com
http://sports.espn.go.com/fantasy/baseball/flb/story?page=mlbdk2k12_30qmariners