Darvish's scoreless debut



 MLB.comのBox Scoreに満を持してご登場、僕等のロックスター"Yu Darvish"。


 日米のメディア関係者の注目を一身に集めた、7日のプレ全米デビューゲーム。スプリングトレーニングのそれも初戦、2回無失点という結果は何の参考にもならないと思うが、そこにメディアの目が向いてしまうのは日本もアメリカも変わらない。やれファストボールは97mphをマークしただの、クエンティンから三振を奪ったスローカーブが凄いだの、ベナブルに打たれた大飛球がどうだの、挙句は早くもサイ・ヤング級の活躍間違いなしと断言しちゃう人まで。

3月 8, 2012



 もちろん僕からすればダルビッシュの活躍は"no doubt"ではあるのだけれど、それはNPB7年間のダルビッシュを見てきた上でのアレであって、昨日の2イニングで一体何のアレがあるのかという話なわけだ。というのはまあ置いといて、一方で良質な情報を発信し続けてくれている頼もしきライター達も当然いる。その情報力とamazingな仕事の早さにMLBファンから絶大な支持な受ける我等がKen Rosenthalは試合後のコラムで、ダルビッシュの大活躍をguaranteeするには時期尚早であると踏まえた上で、"let’s just say that the early signs are good."また"here’s betting that Darvish will be fun to watch."といった言い回しで、期待の高さを表現している。


3月 8, 2012

Texas Rangers Yu Darvish should be fun to watch in 2012 - MLB News | FOX Sports on MSN

 
 ”He will not be another Daisuke Matsuzaka.”というボストン市民瞬殺のフレーズで切り出されるこのコラムでRosenthalは、ダルビッシュは松坂と比較して「よりアグレッシブなピッチングをし、よりアスリートとして(身体能力)に優れており、そしてよりチームメイトに溶け込んでいる」と主張。前者2点は、昨日のゲームで前評判通り積極的にストライクが取れ、また(ピッチャーの本質ではないが)俊敏なフィールディングを見せたことを受けてのものだろう。また、ダルビッシュはここまでMLBの環境に極めて高く適応しておりコミュニケーション能力高めと評判だが、英語だけでなくスペイン語も学ぼうとしているらしい。Rangers主将M.ヤング曰く“His Spanish is probably better than mine”とのことだそうだ。



Daniels on Yu Darvish


 さて、右肩上がりで高まる期待値を尻目に上々のスプリングトレーニングデビューを終えたダルビッシュだが、翌日フィールド外でちょっとした、予想外のトラブルが起こった。ご存知の通り、対戦相手だったSan Diegoのベナブルに打たれたセンターフェンス直撃の特大ダブルに関する試合後の発言が、ちょっとした物議を醸したのだ。


テキサス地元紙が“ダルビッシュ叩き”!不穏当発言の代償


 ベナブルの打球は普通のボールパークなら文句なしにHRという当たりだったが、ダルビッシュは試合後のインタビューで「(ベナブルの打球は)そんなに捉えられた感覚はなかった」と発言。「ジャストミートではなかったのにあそこまで飛ばすとはパワーがある」という意図の発言だったが、字面だけでは強がりとも負け惜しみとも捉えられるその言葉だけがメディアを一人歩きしてしまい、コメントを伝え聞いたベナブルがそれを「侮辱」と捉え、地元メディアでケンカ腰のコメントで返したそうだ。翌日、日米メディアが「ダルビッシュ、ピッチングはgoodも言葉がtoo easy」的な論調でこの1件を報じ、焦ったRangersワシントン監督が"I'd like for Yu to be Yu"(ユウにはユウでいて欲しい)という相変わらず毒にも薬にもならないlove&peaceな迷言を発するに至った。



Venable on double off Darvish


 この1件に際して「アメリカ、MLBには"unwritten rules"が沢山あるから気をつけなくちゃいけない」なんてことを今更ドヤドヤ言うつもりはない。僕が面白いと思ったのは、このトラブルのその後の展開である。メディアを通じて「自分の発言がベナブルを怒らせた」と知ったダルビッシュはどうしたかというと、、


3月 9, 2012



 もはやお約束、Twitterである。ダルビッシュといえばTwitter、Twitterといえばダルビッシュというレベルのついったらーであるダルビッシュは大事なことは大体Twitterかブログで発表するが、今回の1件もTwitterでサクッと片付けた。まずは間違って解釈された自分の発言の意図を説明、そして「本人も嫌な思いをしていたら嫌なので、誰か伝えて貰えると嬉しいです」という緩めな他力本願プレイを決行。とはいえそこはダルビッシュ、50万人のフォロワーによるミッション争奪戦が繰り広げられは流石にしないが、速攻で反応したのがダルビッシュのエージェント、団野村である。


3月 9, 2012

3月 9, 2012


 先程コラムを紹介したRosenthalに、ダルビッシュの日本語ツイートをそのままリプライで投げるという無茶振りを決行。しかしRosenthal兄貴はすぐさま応える。

3月 9, 2012


 そしてさらに何回かやり取りがあった後、2時間もしないうちに記事をアップしてしまうRosenthal兄貴。

3月 9, 2012


 ダブルを間違えてHRと書いてしまったのはご愛嬌だが、彼の仕事のスピードには毎回唸らされるばかりである。

 ともかく、Twitter上での華麗なトリプルプレイにより一件落着、したのかどうかは知らないが、既にMLB全プレイヤーの中でもフォロワー数2位というダルビッシュはやはり僕等のRock Starであった。



halvish