健康面から禁煙の風潮が年々高まっている日本。近頃、厚労省によって法的な側面からも喫煙規制策が続々と打ち出されている。

 昨年12月、職場における受動喫煙防止を事業者に義務づける「労働安全衛生法」の一部改正案を国会に提出したことを皮切りに、今年1月末には、飲食店で受動喫煙する人の割合を2022年度までに15%に削減する数値目標を設定。さらに、病院・診療所については屋内の全面禁煙に対応しない場合、病院が受け取る診療報酬を「減額」する方針を固めた。

 この中でも特に、「職場における受動喫煙防止の義務化」は影響が大きい。業務の都合上、従業員が喫煙スペースに立ち入る必要がある飲食関係、宿泊施設などについては「当分の間」法律を適用しないとはいうものの、今回の改正案では、「事業規模」にかかわらず、屋内の職場(屋内作業場)は全面禁煙、もしくは厚労省の基準に合致した喫煙室を設けるなど空間分煙をしなければならない。その費用の大部分は、事業者の負担となる。

 喫煙室の設置費用は、工事費含めて150万円くらいというのが厚労省の想定。しかし、「実際は喫煙室を1ヵ所設置するだけで200万から500万円かかる場合がある」(空調メーカー関係者)ともいわれる。

 一応、厚労省は昨年10月から、分煙措置に必要な経費の4分の1、上限200万円の助成金制度を設けてはいる。それでも、複数のフロアを持つ事業者にとってこの負担は大きい。しかも、助成金総額は5億円強(来年度予算要求額)。上限200万円の助成金を受けられる事業者が250社あったら、予算はそれで終わり。不足するのは目に見えている。

 たとえ金銭的負担をクリアしても障害は残る。テナントとして入っている場合はオーナーから工事の許可をもらわなければならず、ビルの構造によっては、長い空調ダクトを設置したり、工事そのものが不可能だったりする場合もある。

 ここまで「分煙」のために負担しなければならない金や手間が多いと、いっそ「社内全面禁煙」にしたほうが手っ取り早いと考える事業者は増えるだろう。つまり、労働安全衛生法の改正案は、今まで以上に急速に“全面的な禁煙”を推し進める可能性があるのだ。

(取材/西島博之)

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