先日倒産したメモリメーカーの友人と飲んできた話

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今回は、『はてな匿名ダイアリー』から転載させていただきました。

■先日倒産したメモリメーカーの友人と飲んできた話
彼は純粋な技術屋といった感じで、愚痴もまじっていたせいだろうか、何を言ってるかわからない部分もあったが、いろいろと興味深い話を聞くことができた。
「結局、装置があれば韓国でも中国でもどこでも作れるようになって、値段のたたきあいになっちゃたんだろ」
という私に対して、彼は言った。
「体力勝負で負けたのは否定しない。だけどな、装置があれば誰でも作れるというのは大間違い」
「最大の要因は、やつらの技術力が高かったことだと思う。というかうちの規模の会社が研究開発で対抗できてたのがある意味奇跡」

●メモリは“装置があれば作れる汎用品”なわけではない。
ということを彼は熱弁していた。
回路ひとつをとってみても、“アナログ”技術の塊で、記憶素子のわずかな物理量(数10フェムトとか言ってた)の変化を増幅する高精度なアンプだとか、秒速数ギガビットの信号を処理するためにピコ秒単位で信号のタイミングを自動調整する回路とかそういうものを作る必要があって、最近の高速な製品の設計には職人的な設計技術が求められる。
また、そういった繊細な製品をまともに量産するには大量の試作品が必要で、それに億単位の費用がかかる。そして、会社の規模が効いてくるのがこの部分だと。
確立されていない技術に対してどれだけトライアンドエラーを繰り返すことができるか、たくさん失敗した分だけ、早くノウハウを得ることができる。
資金力で勝る韓国メーカーは、この部分のアドバンテージが大きかった。
彼の口から出たのはそんな話だった。

●逆に“本当に”装置があれば作れるハイテク製品もあって、その代表は太陽電池だと言っていた。
いろんな国の名前も聞いたことのないメーカーが乱立して価格勝負のつぶし合いをしていてひどいんだそうな。
メモリだって秋葉原に行けば変なメーカーがたっぷりあるじゃないかと反論したら、ADATAとかUMAXとかプリントしてあっても中身はうちだったりするのさと言ってた。
要はガワだけ作ってるメーカーはたくさんあるが、中身を作ってるのは世界でも彼の会社を含めて数社しかないとのこと。

最近言われている話では、“過剰品質”とかも変な話だと言っていた。
現場レベルではコストダウン意識が高かったらしくて、韓国メーカーが高性能化するために銅配線を使っているのをコストダウンのためにアルミ配線で同等の性能を出せるように設計を工夫したりしてたらしい。

最後に彼が力説していたのが韓国製品は価格よりも品質の面で脅威になっていたということ。
「俺、分解して特性調査したからやつらの技術の高さはよく知ってるよ」
と。2chとかで、韓国ハイテク製品の劣悪さを書き込んでるやつらは何も知らないくせによく言うぜとか。
 
いろいろと考えさせられる話だった。
結局、自分なりに思ったのは、
“装置産業になったから技術の意味がなくなりコスト競争になって負けた”
“ものづくりは特別なものじゃないから途上国のすることだ”
って言う俗説は違うんじゃないんだろうかということ。

こういう結論でしたと総括しておけば、
・戦略ミスを認めたくない経営者
・技術で負けたと認めたくないエンジニア
・不勉強なマスコミ
・日本の科学技術に誇りを持っている一般国民
誰も誇りが傷つかずに、あれは仕方がなかったんだで終わらせられるもんね。

でも、実際は
“韓国企業は高度な技術を要する分野で日本企業を打ち負かし、倒産に追い込んだ”
というのが事実なんじゃないだろうか。
彼や彼の会社は正面から全力で戦い、刀折れ矢尽きて破れた。
それだけだ。何の言いわけもあるはずがない。
きっと、これからもいろんな産業がこの国からなくなっていくのだろう。
誰も傷つかない言いわけが広まって、仕方がないと言われながら。

転載元:こちらは匿名投稿『はてな匿名ダイアリー』からの転載です。

画像:Memories『flickr from YAHOO!』
http://www.flickr.com/photos/chrissinjo/5368405044/