匿名掲示板「2ちゃんねる」上で、覚醒剤の購入をそそのかす書き込みがされたにもかかわらず、それを放置したとして、書き込みを削除する「削除人」と呼ばれる人の自宅や、サーバー管理会社に対して警視庁が家宅捜索を行っていたことが明らかになった。表面上は、2ちゃんねるの運営実態を解明することが目的だとみられるが、警視庁は「その先」を狙っているとの見方も浮上している。

捜索されたサーバー管理会社は関係を否定

今回の捜索の発端は、11年5月に住所不定で無職の男(54)が新宿区のネットカフェから「02-1万円+P」(覚醒剤0.2グラムを吸引器具付きで1万円で売る)などと2ちゃんねるに書き込み覚醒剤の購入をそそのかしたとして、麻薬特例法違反と覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕されたことにある。

この容疑者の書き込みが放置された結果、覚醒剤の購入を助長したとして、警視庁は被疑者不詳のまま麻薬特例法違反(あおり、そそのかし)の幇助容疑で、11年11月から12年3月にかけて、2ちゃんねるの関係先約10か所を家宅捜索した。逮捕者は、現時点では確認されていない。

捜索先のひとつが、サーバー管理会社の「ゼロ」(札幌市)。ただし、同社の09年時点の発表によると、2ちゃんねるでは同社が販売しているものと同じ機種のサーバーを使用しているものの、

「この2ちゃんねる様が使用されているサーバーは弊社の販売しているものではなく、弊社は2ちゃんねる様の使用されているサーバーと一切関係はありません」

と、2ちゃんねるとの関係を否定。捜査容疑と同社との直接的な関係は不透明だが、ハードウェア面を含む2ちゃんねるの運営実態の解明を念頭に置いているものとみられる。

削除率の低さに警視庁が業を煮やした?

財団法人インターネット協会の統計によると、ネット上に書き込まれる違法な情報のうち、今回問題になったような「違法薬物の広告」は11年上半期だけで3785件が警察庁に通報されている。そのうち2899件について削除依頼が出されているが、実際に削除が確認されたのは、そのうち305件に過ぎない。

この現状に警視庁が業を煮やしたとみられ、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋)などの著書があるITジャーナリストの井上トシユキさんは、

「私が知る限りでは、11年8月に就任したばかりの樋口建史(たてし)警視総監は、2ちゃんねるを『悪の巣窟』だとみなしており、取り締まるべきだとの持論を持っているそうです」

と、トップの強い意向が働いて捜索に至ったとみている。なお、樋口氏は、携帯電話不正利用防止法の制定といった、振り込め詐欺対策に取り組んだことでも知られている。

さらに、井上さんによると、2ちゃんねる関係の捜索は、単なる「入り口」に過ぎない。

「その先には、性犯罪や薬物犯罪の温床になっているともされるSNSが念頭にあります。このままSNSの状況が改善されない場合、『2ちゃんねるみたいになるぞ』ということです。『一罰百戒』を狙っているのではないでしょうか」