公園にこんな看板が立っているのを見たことがある人も多いでしょう。

 「サッカーや野球などの危険なスポーツは禁止です」

 よく考えれば、とても悲しいことです。なぜなら、子どもが遊ぶために作られた公園で、サッカーボールを蹴ることも、キャッチボールをすることも許されないなんて。はらだみずきの新著『ホームグラウンド』に登場する親子も、サッカーができる場所を求めてさまよいます。そして、念願かなって出会った芝のグラウンド。この場所には隠された秘密があり、その秘密が明かされていくのがメインストーリーです。

 主人公は建設会社に勤める圭介。営業成績が芳しくなく、最後の頼みの綱として、祖父の雄蔵のところへ行きます。理由は祖父の農地を宅地に転用することに同意してもらうため。最初は賛成してくれていた祖父でしたが、脳卒中で倒れてから、圭介の思惑通りにはならないことがわかってきます。

 なぜなら、祖父が夢をもったから。それは、ある少年と再会するために芝生のグラウンドを作るという夢です。圭介は祖父が幻を見ているのではないかと疑いながらも、生来のサッカー好きが高じて、彼自身もグラウンド作りにだんだんと夢中になっていきます。

 誰にでも夢はあって、夢が人を生き生きとさせる。言ってしまえばとてもシンプルなことですが、大人になるにつれて、わざと夢から遠ざかろうとする人たちが多いことも事実。だから、登場人物たちと夢へ向かうワクワク感を共有することが心地いいのです。

 また題名の『ホームグラウンド』の"ホーム"に込められている意味を考えながら読むのも、物語の幅を広げていくかもしれません。

 ファンも多い映画の名作『フィールド・オブ・ドリームス』のサッカー版ともいえる本作。さわやかな晴天のもと読めば、また格別な思いにひたれるでしょう。青々とした芝生の上で読めば最高です。



『ひとつのグラウンドを巡る親子三代の物語〜『ホームグラウンド』』
 著者:
 出版社:本の雑誌社
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