東日本大震災から1年を迎える2月28日、NHK出版から『だけど、くじけない』という本が発売されました。これは被災した東北3県(岩手・宮城・福島)で暮らす子どもたちの作文を、写真家・長倉洋海氏の写真とともにまとめたものです。

 長倉氏は昨年9月〜12月、実際に被災地を訪れ、子どもたちの「今」を写真に収めてきました。そこに写し出された子どもたちの笑顔は、どれも明るく、背景に津波や地震で変わり果てた景色がなければ、ごく普通の日常を送っているように思えてきます。しかし、彼らの作文を一読すれば、笑顔の影に、震災が深い影響を及ぼしていることが痛感させられます。以下に、その本書に収められた子どもたちの「声」をいくつか紹介します。


*  *  *
 「ぼくは津波に『バカヤロウ』と言いたい。何もかもうばっていった津波」(翔 12歳)

 「長い夜、長い一日がすぎ、原発が、ばく発し、家族で山形にひなんし、人のあたたかさが、かんじられました。大人になって、またこのようなことがあったら、次は、私が助けてあげたいです」(眞奈 10歳)

 「ぼくの家は、つなみで、二かいだてだったのに一かいがどこかにながされて、二かいだけになってしまって、とても悲しかったです。いつかまた、つなみにあった家をとりもどしてそこに住みたいです」(道生 9歳)

 「それから毎日毎日、ふだんの生活じゃありませんでした。家族にも、めいわくかけたくなかったから、言いたい事も、がんばってがまんしました」
(真耶 10歳)

 「新しい学校では、なかなか、お友だちが作れなくて、早くもとの学校に帰りたいと思いました。でも、だんだんとお友達ができました。彩夏ちゃんは、どうしてたの、ちがう学校に通っていると聞いたけど、お友達は、たくさんできましたか」(妃那 11歳)

 「しかし! 私達は、元気です。もし、世界のどこかで、大きな災害が起きたら(本当は起きてほしく無いです)、私達が、おん返しをする番です」(美結 9歳)

 「地震の前までは、しょうらいのゆめは自分の楽しいことだったけど、今は、みんなのためになることを考えたりしているよ。みーんなが安心できるようになったかな」(響子 9歳)

 「友達を亡くした悲しみを背負い、たくさんの人の役に立てるようがんばっていこうと思っています」(星奈 13歳)

 「福島は、おいしい果物や、野菜がたくさん採れます。豊かな自然にめぐまれた、とても美しいところです。今はまだ、よい状況とはいえないけれど、少しずつ、復興に向けて、努力しています。みなさん、いつか、福島へ遊びに来て下さい」(佳奈 12歳)


 辛い状況にあっても、子どもたちの言葉からは、自分のことよりも、友達や家族や生まれ育った土地を気遣う様子がうかがわれます。その強い心は、岩手県宮古市の鍬ヶ崎小学校学習発表会で6年生たちが語った「輝こう鍬ヶ崎」の次のような一節に現れています。

 「宝物とは『物』のことじゃない。本当の宝物とは『人』のことなんだ」


*東北の子どもたちの作文は、NHK東日本大震災プロジェクトの海外向けサイトで世界に発信中。世界から温かいメッセージも寄せられています。
http://www.nhk.or.jp/japan311/voices-letter.html




『本当の宝物は「人」 被災した子どもたちの「作文」。長倉さんがとらえた「生きる力」。』
 著者:
 出版社:NHK出版
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