なでしこ、澤抜きで米に勝利、宮間「まだまだ出来る」
5日、アルガルベカップ第3戦、なでしこジャパンはアメリカと対戦した。澤穂希(INAC神戸)を体調不良で欠いたなでしこだったが、アメリカの攻撃を凌ぎ、後半38分、宮間あや(岡山湯郷Belle)のCKを高瀬愛実(INAC神戸)がヘディングで決め、そのまま1−0で勝利した。対アメリカ戦、日本が90分間で勝利したのは初めてのこと。なでしこは7日のアルガルベカップ決勝へ進むことになった。
「うれしいですけど、まだまだ出来る部分がある」宮間のインタビューでの言葉が今のなでしこの強さを象徴しているようだ。鮫島彩(モンペリエHSC)も「課題の方が多い」と語り、自分達がまだ発展途上であると戒めている。強豪アメリカに初の90分勝ちという、快挙と言ってもいい事実にも選手達は驚くほど謙虚だ。思えばW杯決勝戦、PK戦で勝ったものの試合内容は押されていた。よく追いついたというのが一般的な感想とも言えた。しかしこの試合、一方的に攻め込まれる時間帯は今までより確実に少なくなり、言葉通り選手達は「自分達はまだまだ強くなれる」という確信を持てたという事なのだろう。
今までのアメリカ戦とは違い立ち上がりはむしろ日本のペース。前半20分までは宮間を中心に再三チャンスを作ることができた。しかし課題はやはりロングボールへの対処とスピードのあるドリブルを止め切れないところ。前半26分にはビューラ―のロングパスに抜け出したモーガンが決定的なシュートを放つが右ポストを直撃、また後半の開始直後には右サイドのオライリーに再三突破されピンチを招いている。
加えて守り切ってはいたもののアメリカが日本のダブルボランチに強くプレッシャーをかけてくるためなかなか攻撃の形を作れない。後半20分「後半勝負になると思っていた」と語った佐々木監督が動き、高瀬愛実(INAC神戸)、川澄菜穂美(INAC神戸)、宇津木瑠美(モンペリエHSC)を一気に投入、また後半34分には阪口に代えFW菅澤優衣香(アルビレックス新潟)を入れ、攻勢をかける。その4分後の後半38分、代わった高瀬が見せる。宮間のCKはファーのスペースに流れるボール。それを後ろに下がりながらDFの前に出た高瀬がヘディングで決め、これが決勝点となった。
1−0になった後もなでしこは引き気味になることなくきっちりと守り切りアメリカの攻撃を防ぎ、待望の90分での完全勝利を勝ち取った。澤抜きでもぎとったアメリカからの勝利。歴史的にも、またロンドン五輪という未来に向けても大きな勝ちとなった。アルガルベカップ決勝は7日。なでしこの進化はまだまだ続く。(編集担当:田村和彦)