【スカイツリー】日常では想像もできない光景

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東京スカイツリー。オフィス街でも繁華街でもない墨田区押上に、高さ634メートルの巨大タワーがそびえ立つ。筆者は台東区浅草に住んでおり、部屋からスカイツリーが一望できる。約3年前に建設がはじまり、ツリーが少しずつ伸びる様子を毎日、部屋のベランダから見てきた。そして、2月29日にツリーは完成した。

2012年3月1日付の東京新聞に、ツリーの建設現場で指揮を執った田渕成明さん(大林組)のコメントが掲載されている。興味深かったのは、東日本大震災のときの対応である。浅草の筆者自宅は、震災時に本棚が倒壊し、落下物によりMacBookに穴が空いてしまうほどの揺れに見まわれた。浅草から目と鼻の先にある押上も、かなり揺れたであろう。

震災が起きたのは、「デジタル放送用アンテナを設置する、最上部の『ゲイン塔』をリフトアップする作業中」だった。揺れの規模は、そのゲイン塔が「横方向に4〜6メートルしなる」くらい強いものであった。あと9メートルほどゲイン塔を上げれば、634メートルに到達する。だが、3000トンのゲイン塔を持ち上げる作業は、余震に備えるため、ワイヤーでつられた状態で中止された。

1週間後の3月18日午後1時、「無事に上がってくれ」という田淵さんの思いをのせたゲイン塔が、634メートルの位置に固定された。「作業場にいた50人は握手し、抱き合って達成感に酔いしれた」という。「日本人には世界一を作る力がある。スカイツリーを見て夢を感じ、復興へ向けて頑張る糧になってくれたらうれしい」と田渕さんは語る。

以下、記事ではスカイツリーの現場を取材した小野沢健太記者の雑感が語られるのだが、久々に観光地を紹介するような新聞記事を読んで、「行ってみたい」と思うような記述だったので、そのまま引用しておく。

「被災地の人にこそ、展望台からの景色を見せてあげたい。運が良ければ、日常では想像もできない、例えば、こんな光景に出会えるからだ。

曇り空の今年2月7日、高さ200メートルくらいで雲海が発生した。第1展望台から見渡すと、どこまでも広がる雲のじゅうたんの所々にポツン、ポツンと、何かが突き出ている。

東京タワーの先端、その先に都庁。向こうには横浜ランドマークタワー。天を突く高層建築だけが許される、雲との共演。夢のもののような気がした」

高層建築と雲の共演。いいじゃないですか。高さ350メートルの第1展望台に上る料金は大人2,000円で、450メートルの第2展望台に上るためには1,000円の追加が必要となる。ちょっと高めの料金設定だが、上記のような文章を読むと、一度くらいは上ってみるのもいいかな、とも思う。しばらくは予約制となり、チケットが取りにくそうなので、観光ラッシュが一段落した平日にでも行ってみよう。

(谷川 茂)