大阪市職員コネ採用問題:履歴書に口利きの痕跡「消しゴムで消された市会議員・組合役員等の名前」多数見つかる

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大阪市はまさに世紀末的な様相となっています。市職員の違法行為の調査を進める「第三者調査チーム」と公務員労働組合側のぶつかりあいです。大阪市職員の違法行為に対して第三者調査チームがアンケートやメール調査をおこないましたが、公務員労働組合側は激しく抵抗。まさに全面戦争です。

3月2日には春闘決起集会がおこなわれ、多くの組合員が集結し違法・不正行為の調査に反対する声をあげたとのことです。

職員アンケートの問題に関しては、一時停止を勧告した大阪府労働委員会の最終的な決定が1年以上先、とのことで、1ヶ月後の今年3月までに最終調査結果発表をおこなう予定の「第三者調査チーム」のスケジュールとはまったく合わない、というところで話が止まってしまっています。調査のリミットは1ヶ月切ってますから大阪府労働委員会の決定が1年かかるようであれば、事実上、アンケートは今回の調査には使えないということになります。

第三者調査チームの中間報告が3月1日におこなわれましたが、様々な問題が指摘されていました。この中で、大阪市職員のコネ採用の方法の一端が明らかになったようです。

中間報告書によれば、大阪市環境局では以下のようなものが見つかったとのことです。

採用面接の際に利用する申込書(履歴書)に、市会議員・組合役員・人事部局幹部などの名前が記載されていたことを示す痕跡が多数見つかった。消しゴムで消されているが、大部分は役職と氏名の判読が可能である。

なるほど、口利きした議員や組合役員の名前を履歴書に書いておいて、後で消しゴムで消してたんですね。でも、みなさんご存知のように、エンピツで書いたものって、消しゴムで消しても跡が残ってて、書いてあったことがわかっちゃいますよね。証拠隠滅失敗、ってとこでしょうか。

大阪市交通局の調査では

採用時の履歴書に、組合役員の連絡先を記載した紙が挟まれていた。

とのことです。これはわかりやすいですね。組合の採用人事への関与が疑われます。

交通局では、調査に行ったところ「昼休みだ」と嘘をつかれて、書庫を覗いたら履歴書からフセンをはがしている職員を発見した、とのこと。

調査に行ったところ、昼休みだと言われて足止めされたので、フロアの見学を先行させたところ 2名の職員が、書庫において、提出を依頼していた資料(採用面接の際に利用する申込書(履歴書))に添付されていた付箋を剥がしていた

付箋には、「問題」、「試験決裁なし 」、「実施なし」「○」、「×」などの記載があった。

こちらも証拠隠滅失敗、ということなのでしょうか。公務員の不公正な口利きの実態がこれから明らかになっていくことでしょう。

また、採用のみならず昇進に関しても組合の関与が認められるそうです。

交通局、建設局、環境局、水道局のいずれにおいても、現場職員の昇進に関して、現場管理者(組合員の地位を有し組合役員であることが多し、)に事実上の推薦権を持たせる仕組みになっており、その推薦が通るケースが大半で、組合が人事権を握っているとの声が多く挙がっている。

組合が人事を掌握しているという大阪市のお役所の実態が浮かびあがってきています。 橋下市長が就任したことにより、これら不公正な口利きは一掃されるとのことですが、人事権といういわば最大の権力を掌握していた組合との全面戦争はしばらく続きそうです。ちなみに、採用経緯に問題があれば、その職員に対して再試験がおこなわれるそうです。

調査の前に連絡をすべきという声や、調査そのものをやめさせようという声すらあるようですが、この種の調査は素早くやらないと意味がないのではないでしょうか。こうしている間にも、次々と違法行為・不正行為・ヤミ便宜供与の証拠が消されているかもしれません。

資料)
大阪市・第三者調査チーム中間報告(代表:野村修也弁護士)