アイタタタ……。完璧なルックスで、教養もあるはずの美女なのに、どうしてそんな行動に出ちゃうの!? 今回、紹介する映画のヒロインは、思わずそう突っ込みたくなるような、輝いていた青春時代をいつまでも引きずっている、ちょっと壊れぎみの30代女子。こんなダメ子が主人公の作品は見たことない!でも、絶対にお薦めしたい1本なんです。


 都会で一人暮らしをしているメイビス(シャーリーズ・セロン)は自称作家ですが、実際の仕事はゴーストライター。執筆していたヤングアダルト(少女向け小説)シリーズ「花のハイスクール」の人気が落ち、最終話の原稿を書かなければならないメイビスでしたが、新作の予定もない彼女はすっかり行き詰まっていました。


 そんなときに、1通のメールが届き、開いてみると赤ちゃんの写真が。差出人は、高校時代にメイビスが付き合っていたバディ(パトリック・ウィルソン)と、彼の妻ベス(エリザベス・リーサー)で、2人の子どもの誕生パーティーの案内でした。

 ここで、ムカッとなるのは分かります。ところが、メイビスがキレた後に考えついたのは、「バディを取り戻さなきゃ」だったから驚き!

 メイビスは、いわゆるハイスクールの女王様的存在で、バディとは美男美女の理想的なカップルでした。90年代、バディとのラブラブな青春時代に酔いしれていたメイビス。彼と別れた後、メイビスは別の男と結婚しましたが、うまくいかずに離婚。「やっぱりバディこそが運命の相手」と、彼のいる故郷に向かうのですが……。


 バディは幸せな結婚生活を送っていて、見るからに子煩悩なマイホームパパなのに、メイビスの目には「彼は不幸。まるでゾンビのような生活」としか映りません。メイビスは全力で、“バディ取り戻し大作戦”を実行しますが、平和な田舎町は、勘違いメイビスが戻ってきたことで大騒動に。


 大酒飲みで、超高飛車で、自分の非は一切認めず、いつも失礼な態度で、他人は自分の引き立て役と思っているメイビス。まず共感できるヒロインではありません。メイビスのやることなすことがイタくて、一体なんでこんなことを!? と、いう思いが頭を駆け巡りますが、なぜかだんだん彼女の気持ちが分かってくるから不思議。メイビスは、ほかの全ての人と同じように、幸せになりたいだけなんです。

 別れても忘れられない人がいる。あの頃は本当に楽しかったのに……。そういうヒロインの気持ちには、共感できる人も多いと思います。ただ、思い出は思い出のままにしておくのが一番なんですが、メイビスは違うんですね〜(笑)。

 オスカー女優のシャーリーズ・セロンが、ものすごく美人なのに負け犬キャラで、女子に嫌われているメイビスを、とても自然に演じているのが素晴らしいです。


 普段はヨレヨレのTシャツとスウェットパンツ、スッピンでユル〜い生活を送っているメイビス。でも、ちょっと気合を入れれば、簡単に男を落とせる彼女は、10代の頃からずっとモテ期のままだと信じて疑いません。そんな大人になれないメイビスが壁にぶつかったとき、果たして彼女はどうするのか……? ぜひみなさんも「アイタタタ」となりながら、メイビスの奮闘を見届けてください!

「本作の監督&脚本家コンビの作品とシャーリーズ・セロン主演作」DVD紹介

「JUNO/ジュノ」


 好奇心から、同級生と一度きりのセックスをして、予期せぬ妊娠をした16歳の女子高生ジュノ(エレン・ペイジ)。中絶しなければと思いながらも、産むことを決意した彼女は、生まれてくる子を幸せに育ててくれる里親を探し始める。養子縁組を希望するヴァネッサ(ジェニファー・ガーナー)と出会ったジュノは、彼女の愛情の深さを知るが……。「ヤング≒アダルト」のジェイソン・ライトマン監督と、脚本を手掛けたディアブロ・コディが初めてコンビを組んだ傑作青春映画。本作でコディはアカデミー賞脚本賞を受賞した。

2007年/アメリカ/エレン・ペイジ、ジェニファー・ガーナー20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン/Blu-ray2500円 発売中/DVD特別編1490円 3月16日発売予定
「モンスター」

 シャーリーズ・セロンが13キロも体重を増やし、アメリカ犯罪史上初の女性連続殺人犯アイリーン・ウォーノスを熱演して、アカデミー賞主演女優賞に輝いた衝撃作。1986年、フロリダ。ヒッチハイクをしながら体を売る生活に疲れ果て、自殺するつもりだったアイリーンは、セルビー(クリスティーナ・リッチ)と運命的な出会いを果たす。両親から同性愛の治療を強制され、フロリダにやって来たセルビーと引かれ合うアイリーン。初めて自分を偏見なく受け入れてくれるセルビーと暮らす費用を稼ぐために、アイリーンは再び客を取ろうと道路脇に立つが……。

2003年/アメリカ・ドイツ/シャーリーズ・セロン、クリスティーナ・リッチ
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