ガイ・リッチー監督xロバート・ダウニー・Jrxジュード・ロウによる大人気シリーズ続編。既存のシャーロック・ホームズのイメージを一新し、天才的な頭脳と超人的な格闘能力を持つ名探偵に仕立て、若い観客層も新しく取り込んだということで興味があった。本国では昨年12月に封切られ、オープニング週興行成績は第1作目よりは落ちるも、ワールドワイドで既に5億1千2百万ドルを記録(box office mojoより)。先月半ば、ワトソン医師を演じるジュード・ロウが来日して重要な市場である日本でPRしたが、そのおかげで第1作目の全世界興行成績を抜く可能性大だ。
オーストラリア皇太子が遺体で見つかり、警察は自殺と断定するが、シャーロック・ホームズ(ロバート・ダウニー・Jr.)は、皇太子は殺害されたと推理。そして、ヨーロッパ各地で勃発している事件は天才数学者のモリアーティ教授(ジャレッド・ハリス)が黒幕だと主張する。ホームズは結婚を翌日に控えたジョン・ワトソン医師(ジュード・ロウ)を連れ、ある社交クラブに行き、そこでジプシーの占い師であるシム(ノオミ・ラパス)に会おうとする。事件の鍵を握る彼女は突然暗殺犯に襲われるが、ホームズに助けられたことから、彼の捜査を手伝うことに。新たな仲間を得て、ホームズはワトソンと共に、モリアーティ教授との対決に挑む。

とにかくアクション満載。ガイ・リッチーは高速デジタルカメラでビジュアルのスピードに変化をつけ、迫力ある演出を試みる。列車での危険なスタントや森の中での追跡シーンなど、ロケーションも様々変化するので楽しい。そんな中、ロバート・ダウニー・Jr.はジャッキー・チェンばりのアクションを魅せる。この人、こんなアクションスターだったっけ?と思うぐらい。今回もジュード・ロウとの軽妙な掛け合いを見せ、二人の相性は相当良いので、1作目からファンという人は愛着を持って楽しめそう。3人目に加わったノオミ・パラスのジプシーな感じも良い。というわけで、テンコ盛りのアクションと2人のコミカルで洒脱な演技、そんな要素で2時間強突っ走るので、"頭脳で推理"という本来のインテレクチュアルな要素があまりない気がして残念。そんな中、ジュード・ロウとスティーヴン・フライの"英国さ"が原作を生んだ国との繋がりを感じさせ、なんだかほっとする。

その本格的な19世紀の"英国さ"は、先日の記者会見でジュード・ロウも述べていた衣装、そしてプロダクションデザインでも細部にわたって表現されている。アクション大作でありながら時代考証の正確さや拘りには好感が持てた。

すでに第3作目の製作が予定されているが、安定した興行収入を生み出すシリーズの仲間入りも確実だろう。(★★1/2☆☆)

−アメリカの著名な映画情報・批評まとめサイト「ロッテン・トマト」では:60点 

2012年3月10日(土) 丸の内ルーブル他 全国ロードショー