ヒザ蹴りキャッチぐらいしか、漆谷が倒されたシーンは思い出されない。加えてフィジカル面の強化、KOパンチ&キックを持つようになり、円熟の時を迎える

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3日(土・現地時間)に豪州はシドニーのオールフォンズ・アリーナで行われるUFC on FX02「Alves vs Kampmann」では、新たにフライ級の試合が組まれ、日本から漆谷康宏が出場、ジョセフ・ベナビデスと対戦する。

レスリングベースながら、その距離のコントロールとパンチの当て感、ディフェンス能力の高さは日本MMA界でも随一のモノを誇る漆谷。修斗バンタム級(※56キロ)の世界王者が、ついにUFC初出場、初代フライ級王座決定4人トーナメントに挑む。過去3年2カ月負け無しのファイターは、DOGやCAGE FORCEでケージも経験済み、MMA戦績は29戦19勝4敗6分という堂々たるもの。

ただし、対戦相手のベナビデスは新設フライ級で、デメトリウス・ジョンソンと並ぶ新王者候補筆頭の実力者だ。キャリアは17戦15勝2敗、二つの敗北はいずれもUFC世界バンタム級王者ドミニク・クルーズに喫したもの。バンタム級でも世界2位といっても過言でない、力を有していたベナビデスは、とにかくフィジカルとスピードが半端ない。

漆谷もかつて、デビュー戦のジョン・ドッドソンやダニエル・リマという外国人ファイターと対戦経験があり、特にブラジルの強豪リマ戦でも、殴られない&テイクダウンを許さないという試合を見せてきた。しかし、ベナビデスの出入りの速さ、そして時折りスイッチを織り交ぜて戦うスタイルは、次元が違うといえる。

とはいっても、そこは距離の魔術師=漆谷だけに、何かを見せてくれるという期待が高まる。ベナビデスもまた彼のような長いリーチを持ち、蹴りを上中下と使いこなすファイターと戦った経験はない。漆谷が右ジャブで距離を掴み、左ローで足下を攻めることができれば、伸びる左ストレートがベナビデスの顔面を捉える可能性は大いに広がる。

一方、漆谷の懸念はベネビデスのようなテイクダウンの強さを持つファイターと、日本ではそれほど対戦できていない点だ。そして、テイクダウンを許したとしても、すぐに立ちあがるスタイルがどこまで身についているのか。漆谷にとっても未経験の鉄槌やエルボーの強さを持つベナビデスは、この打撃をエサにギロチンというフィニッシュも持っている。

ギロチンには嫌な思い出がある漆谷だけに、十分警戒はできるという希望的観測を持てるが、やはりテイクダウン+パウンドは食わないにこしたことはない。ローで前足を止め、テイクダウン狙いを切ることで、無尽蔵のスタミナを誇るベナビデスを削ることができれば――、漆谷勝利の可能性は高まるのだが……果たして。
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