社員の給料をウェブにアップする会社

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 20年にも及ぶ不況の時代が続き、世界の先行きが不透明になったことにより、企業の事業戦略は大きく変わりました。過去の右肩上がりの経済成長を引きずったままの戦略ではなく、国内市場が縮小していくことを前提とした戦略を立てなければなりませんが、まだその答えを見つけられない企業も多くあります。
 『ぴょんぴょんウサギとのろのろカメの経営法則』(経済界/刊)の著者・藤井正隆氏は時代を超えて普遍性が高い経営として「カメ型の経営」を推奨しています。
 カメ型の経営とは、持続がおぼつかない一時的で急激な成長戦略ではなく、ゆっくりと確実な成長戦略を描く経営を指します。
 本書には「カメ型経営」を採用して、成功をおさめている企業が紹介されていますが、同じ「カメ型」でも、それぞれに独自の経営の法則があるようです。

■カリスマを作らない組織づくり(株式会社ライブレボリューション)
 企業というものはえてして、創業者がカリスマとして君臨しがちです。それはそれで悪いことではないのでしょうが、長く組織を繁栄させていくことを考えると、カリスマ頼みの組織は、そのカリスマが去った後に弱体化するというリスクもあります。
 モバイル広告やスマートフォン広告を中心とした代理店事業を展開する超人気企業・株式会社ライブレボリューションの増永寛之氏は、決して客に会わないという一風変わった主義を持っています。社長自らが客に会わないと仕事を受注できない企業など発展するはずがありません。そうした理由から増永氏は社員を鍛え上げ、自らは会社の成長戦略を実行することに専念して、大きなクライアントでも社員が対応できる組織作りをしています。

■社員給与も評価も全て「丸見え」に(メガネ21)
 メガネチェーン「メガネ21」を全国に120店舗以上展開している株式会社21の経営法則は「丸見え経営」。その名の通り、この会社は自社の財務状況や社員の給与にいたるまで社内のウェブサイト上にアップしているのです。
 同社の創業者である平本清氏らが「丸見え経営」を始めたきっかけは、「上顧客よりも“常”顧客をつくる」というビジョンに基づき、全商品を4割引にしたことです。当時のメガネ21は全商品を4割引で売るために、社員の給料を安く抑えなければなりませんでした。そのため社員に「本当にウチはお金がないんだ!」ということを納得してもらうには会社の財布の中身を明らかにする必要があったのだといいます。そしてこの「丸見え」は社員の給与や評価にも及び、社員に無駄を省く意識が浸透したり、(この財務状況なら)給料が安くても当然と考えるようになるなど、大きな副産物をもたらしました。
 もちろん、社員の給料を抑えたままでは利益が出たら、どうするんだ!といった話になりますが、利益が出たら内部留保を残さずに全部山分けにしてしまうというから驚きです。しかし、メガネ21には、そうした驚くような運営を可能にする綿密な仕組みがあるのです。

■一年で全社員の半数を異動させることで、全員に経営者感覚を持たせる(アニコムホールディングス)
 全国の約半数の動物病院と提携してペット保険業などを展開するアニコムホールディングスの小森伸昭社長は、社員を成長させるためにあえて毎月全社員の4%、年間で48%と、約半数の社員が人事異動するというから驚きです。小森社長はこれをすることで、社員の視野を広げ、組織の全体図を理解させて、組織の長期的な繁栄を目指しているのです。

 今回取り上げた企業はそれぞれ業種も組織の規模も理念も違いますが、「当たり前に前年度対比の売上目標を目指すのではなく、永続することを目指す」という点で共通しています。低成長の時代、どのような戦略で事業を展開するのかということを多くの企業が模索しているなか、藤井氏が提案する「カメ型経営」はそれを考える一つのヒントといえます。
(新刊JP編集部)


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