仕事とは“人生のすべて”―大塚寿さんに若い頃の働き方を聞く(1)

写真拡大

 20代は人生の“種まきの期間”とよく言われます。だからこそ、どのように働くべきなのか、悩む人も多いのではないでしょうか。
 20代に人生の礎を築き、30代以降に飛躍できるように。20代の努力を30代以降に結実するために。元リクルートで『20代のうちに知っておきたい100の黄金ルール』(PHP研究所/刊)の著者である大塚寿さんは、自身の経験を交えながら20代で知っておきたい、経験しておきたいことを本書を通じて伝授します。
 今回はそんな大塚さんに、本書についてのインタビューを行いました。大塚さんはどのような20代を過ごしてきたのでしょうか…?

■仕事とは“人生のすべて”

―本書を読んでいる中で大塚さんが経験されたエピソードが非常に印象的でした。そうしたエピソードが書かれていたことで、100のルールの項目1つ1つが腑に落ちて理解することができたのですが、改めて大塚さんにとっての20代とはどのような時代だったと思いますか?

「そうですねぇ、私の20代はまさに挫折のどん底からのスタートで、特に20代の前半は「コン畜生、今にみていろ」と拳を握りしめていました。やる気はあるのに、なかなか目に見えた成果を手にすることができず、悶々とした日々を送っていました。
これは10代からの延長ですが、高校受験の直前でこれまでに経験したことのない、低い偏差値を取ってしまい地域一番校からランクを落とた高校に入学したのが、挫折感にさいなまれる最初の原体験でした。
大学入試でリベンジを果そうと決意したにもかかわらず、一次志望には合格できませんでした。就活もやはり志望していた総合商社や大手広告代理店ではなく、当時はまだ海のものとも山のものとも分からないリクルートという会社に入社したのです。
そういう意味では高校受験、大学入試、就活とすべて一次志望に入ることができなかった敗北や挫折感にさいなまれ、達成感というものを一度でもいいから味わってみたいとずっと思っていました。
その感情は仕事で爆発しました。リクルートで出会った、法人営業という仕事にそうした内面の持って行き場のないもやもや感をぶつけたのです。 
そこで人生最初の成功体験を味わうことになるのですが、同時に30代以降の人生が実りあるものになるなら、20代のすべてを犠牲にしてもいいと思って、25歳でその後の人生設計を行いました。
そしてMBA留学を決意し、留学費用捻出と受験勉強のためにリクルートをスパッと退職し、実家に帰ってヤマメの養殖を始めたのでした。
2年半後にお金もたまり、合格もしたので、渡米、ビジネススクールに入学しました」

―20代に経験された失敗や挫折の中で、今でも後悔しているものはありますか? また、それはなんですか?

「それはなんといってもクリスマスツリービジネスの失敗ですね。実はヤマメの養殖をしつつ、余力があったので生のクリスマスツリー販売のビジネスの準備をしていたのす。実は実家が江戸時代から昭和初期まで材木商を営んでいた関係で山林を所有してたのです。たまたまリクルートで担当していたのが、生のクリスマスツリーの最大手の会社で、なんと私の故郷からツリーを仕入れているではありませんか。
何も迷わず、トレーラーが横付けできる畑に全国から集めたクリスマスツリーの苗を植えまくったのです。MBA留学から帰国したら、そのツリーを売って1億円の種銭をつくるのが私の皮算用でした。
ところが留学中にバブル経済が崩壊、帰国したときには世の中、クリスマスツリーどころではなくなっていました。
リクルート時代のコネを駆使して販路は築きましたが、なんといっても数が多すぎて、結局1千数百万円の損失を出してしまったという顛末です。
結局のところ、私は植木屋でも花屋でもなく花木の実務については全くの素人でしたし、木というのは在庫としては取っておけず、どんどん大きくなってしまうキワモノビジネスだということに気づかず、ただおもしろそうだということだけで飛びついてしまったのです。
しかも、生のクリスマスツリーは高価で、手もかかるので実際に買うお客様は限られているという現実を、細かなリサーチもせず、自分の営業力があればなんとでもなると過信して、スタートしてしまったことを恥じました。
母からリクルートの営業実績を鼻にかけ、MBA留学までした結果がこれか、と呆れられたのが一番堪えましたね」

―大塚さんにとって「仕事」とは何ですか? また、その「仕事」の意味を自分なりに理解できたのはいつ頃のことでしたか?

「人生のすべてです。これがなければ何も始まりませんね。家族も守れないし、幸せを感じることもできない。20代半ばだと思います。実はリクルートを辞めたくで仕方なかった。窮屈だったです、組織の仕事が。とにかく自由にやりたかったし、自由に行きたかった。だからその自由を手に入れるためにMBA留学をして、自分で創業しようと思ったわけです」

<後編へ続く>


【関連記事】 元記事はこちら
20代の理想的な働き方は“仕事に没頭”
20代で成功する仕事への取り組み方
会社も社会も頼れない時代の20代・30代の不安解消法
30代のサラリーマンたちに聞く“私の20代の働き方”