内定がほしい学生、使える学生を採用したい企業。どちらにとっても現在の就活システムは障害となっているようです

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 就活の主役が就活サイトになったことで、学生にとってはエントリーが簡単になり、企業に大量の応募が押し寄せるようになった。だが、それこそが企業の採用担当者を悩ませている。

『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』(ソフトバンク新書)の著者、沢田健太氏がこう語る。

「人事の苦労は間違いなく増えました。ヤマはエントリーシートを読むときと、1次面接のふたつです。エントリーシートについて、学生は『本当は読んでないんじゃないか』と思っているようですが、多くの企業では必死に読んでいます。ただ量が多いので、ちょっとでも粗(あら)があるとしっかり読み込んでくれなくなるということはあるでしょう。まだ人数が絞られてない1次面接は、とにかくさばかないといけないので、ホテルに缶詰め状態になることもあります。1週間ぐらい、朝から晩までベルトコンベヤーのように面接を回すのですから、精神的にもきつい。それでも人が足りなくて他部署の若手社員も駆り出されるのですが、いいかげんな企業はきちんとした訓練も行なわず、なんのために面接をするのか考えない面接官も出てしまうという問題もあります」

 実際、採用の現場からもこんな声が出ている。

「面接で『学生時代に頑張ったことは?』と聞くと、10人中8人は『サークル活動』と答えます。『リーダーシップを取った』とか『トラブルを解決した』とか、それに続く話も似たりよったり。正直、いい年してなんでそんな話に付き合わなければいけないのかと思うことがあります」(流通)

「採用にかけられる予算は減らされる傾向にあり、担当する人事の人間も増えていません。そもそも採用予定数が減っているのに応募は増えて万単位です。エントリーシートを500枚ほど割り振られ、読むだけで必死です」(メーカー)

 採用には手間だけではなく、金もかかる。社員をひとり採用するためにかかる費用は100万円とも200万円ともいわれる。それでも求める人材が採用できているならいいだろう。だが現実には入社して3年以内に3割が会社を辞めていく。費用をかけた企業もたまったものではないが、なぜこのようなことが起こるのか。

「例えば4月に内定を出すようなガツガツした企業は、まず総合職を採用し、事務系などは後回しにします。学生は内定を取るのに必死ですから、事務系の志望者でも、過剰に自己演出して背伸びします。結果、就職した後に『こんなはずじゃなかった』ということがよくあります。また、人事は学生に響くキャッチーな言葉を使います。最近だと『若手でもすぐに活躍できるフィールドです』とか。でも普通に考えれば、若手に任せられるのは簡単な仕事に決まっています。採用の論理と配属後の論理が乖離していることがミスマッチを生んでいるのです」(前出・沢田氏)

 現在の就活にうんざりしているのは学生だけではない。企業にとっても非効率なシステムなのだ。

(取材/梶野佐智子、イラスト/村上テツヤ)

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