17日に自転車を盗まれた日本人旅行者の河原啓一郎さんの自転車が、武漢警察の3日間にわたる捜査によって無事発見され、21日に本人に返却された。武漢警察は今回の窃盗事件について、「別に日本人だから特別視したわけではない」と発表した。中国新聞社が22日付で報じた。

 武漢公安局武昌分局東亭派出所によると、17日の夜に本人から自転車を盗まれたとの通報を受けた。自転車の価格が1万7000元(約22万円)だったため、刑事事件として立件できる基準を満たしていた。

 28歳の河原さんは2011年夏から自転車での世界一周旅行を始め、すでに10数カ国を回り、上海、江蘇、江西などを経由して2月初めに武漢に到着したという。17日午後、河原さんは友人とともに武昌湖付近の漢街に遊びに来たが、歩行者天国であったため自転車を乗り入れることができなかった。自転車にはスタンドがついていないので、近くの壁に立てかけたという。駐輪場の管理人は夜8時に退勤するためそれまでに戻ってくるよう言われたが、遊んでいるうちに時間を忘れ、30分過ぎてから戻ったところ、自転車がなくなっており、すぐに通報した。

 市民から「外国人だから力を入れて捜索したのではないか」との疑念が出ていることについて、武漢警察側は、「別に日本人旅行客だから捜索に力を入れたわけではない」と否定した。そして、刑事事件として立件できる基準を満たしているものはすべて立件すると述べ、「われわれは電動バイクの盗難にあったという通報をよく受けるが、すべて立件している。そして手がかりを見つけられるよう捜査し努力しているが、解決に至らぬ案件も多く、効果的な捜査という点で力不足であることは否めない」と述べた。

 今回、自転車を発見できた理由として、警察は「自転車が非常に特徴的であったため見分けやすかったこと、メディアによって取り上げられたため多くの市民が協力したこと」を挙げている。(編集担当:及川源十郎)